第284回:石田夏穂さん

作家の読書道 第284回:石田夏穂さん

2020年に筋トレに励む女性が主人公の『我が友、スミス』で第45回すばる文学賞佳作を受賞しデビューした石田夏穂さん。実はその前は江戸川乱歩賞に応募していたのだとか。そんな石田さんが敬愛する作家は? 読書遍歴も創作についても、意外なお話たっぷりです。

その2「新本格にはまる」 (2/8)

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  • 葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)
  • 『葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫 う 20-1)』
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――司馬遼太郎の次にはまった作家はいますか。

石田:なぜか島田荘司で。

――ぜんぜん違う...。

石田:私も、なぜそうなったのか分からないです。島田荘司もデビュー作の『占星術殺人事件』から、ほぼほぼ読みました。中学生くらいの時だと思います。トリックものが好きだったんです。
島田荘司さんでいちばん好きなのは、『異邦の騎士』です。御手洗潔に石岡君っていう子分がいるんですが、石岡君が大人になるんですよね。それまでヘコヘコしている青年だったのが、ある出来事があって、タクシーの運転手に「早くしろよ」のような乱暴な言葉を言って、赤の他人にこんな乱暴な言い方をしたのははじめだ、みたいなシーンがあるんです。それがすごくよくて。

――トリックものがお好きということで、他の作家もいろいろ読まれたのですか。

石田:京極夏彦さんの京極堂シリーズも、『姑獲鳥の夏』から全部読みました。その前後で綾辻行人さんの館シリーズも全部読みました。めちゃめちゃ面白かったです。そうこうしているうちに高校生になっても、新本格というんですかね。それをずっと読んでいました。歌野晶午さんもすごく好きでした。『葉桜の季節に君を想うということ』とか、あとは『長い家の殺人』といった、『〇〇の殺人』みたいな不穏なタイトルのものとか。歌野さんの小説も全部読んだと思います。
新本格は、なんだろう、工夫がしてあるところが好きというか。それに、感情がベタベタ書いてある小説が全然好きじゃなくて、新本格はトリックに特化しているところがすごく潔く感じて好きでした。

――新本格の本はどうやって見つけていったのですか。

石田:文庫の解説で知ることが多かったです。なにかの解説で歌野晶午さんが島田荘司さんの推薦でデビューしたと知って、それで歌野さんの本を読んだりして。それに「新本格といえばこの人」みたいなのがあるので、それに沿って読んでいました。有栖川有栖さんも、国名シリーズをはじめ、全部読んだと思います。

――周囲とくらべて、読書家だったと思いますか。

石田:当時はそんな気はなかったけれど、私の中学生の頃はスマホもなかったので、結構本を読んでいたと思います。寝る前とか朝とか、休みの日とか。

――部活に打ち込んだりはしませんでしたか。

石田:中学も高校も、吹奏楽部でした。部活はなんでもよかったんですけれど、たぶん最初に誘われたんだと思います。その吹奏楽部が謎に体育会系で、練習が長かったんです。自分はバスクラリネットという大きな笛のような、超地味な、知名度の低い楽器をやっていました。一回もメロディーを演奏したことなくて、ずっと四分音符をやっていました。どうせならサックスとかトランペットとかフルートとか、キラキラした楽器をやっていればよかったってマジ思います。

――体育会系ってことは、肺活量を増やす運動をしたり?

石田:やってました。今思うと、さして意味もないと思うんですけれど、走り込みとか腹筋とか。

――石田さんはデビュー作の『我が友、スミス』をはじめ、体を鍛えている主人公を多く書かれていますが、運動は好きではなかったのですか。

石田:普通でした。美容院とか行くと絶対「陸上部ですよね?」とか訊かれるので「はい」って言おうか迷っていましたけれど。

  • 新装版 長い家の殺人 (講談社文庫 う 23-11)
  • 『新装版 長い家の殺人 (講談社文庫 う 23-11)』
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  • 我が友、スミス (集英社文庫)
  • 『我が友、スミス (集英社文庫)』
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