その1「江戸川乱歩の世界に惹かれる」 (1/7)

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- 『タイムマシン (講談社青い鳥文庫)』
- H.G.ウェルズ,高田勲,加藤まさし
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――いちばん古い読書の記憶を教えてください。
夕木:絵本みたいなものは別として記憶に残っている範囲でいうと、江戸川乱歩の『幽鬼の塔』を子供向けにリライトしたものですね。それが家にあって、小学校低学年くらいの頃に手に取った記憶があります。
他にその当時読んだ本で憶えているものは、講談社から出ていた、海外の古典の冒険小説みたいなものの子供向けシリーズですね。ウェルズの『タイム・マシン』やドイルの『失われた世界』などを読んだ記憶があります。
――『幽鬼の塔』を子供向けにリライトしたものというと、ポプラ社の少年探偵団シリーズに入っていたものでしょうか。今は絶版になっていると思いますが。
夕木:そうです。少年探偵団のシリーズは、今は全26冊ですが昔は全46冊あったんですよね。後半は大人向けのものを無理やり子供向けにした感じで、今思うとびっくりするような残虐なものもありましたが、一応児童書の顔をしているから両親の目を気にすることもなく読んでいました。
その本がどうして家にあったのかは記憶が曖昧です。家族が図書室から借りてきたものだったかもしれません。当時27巻以降は買おうとしてももう新刊では見つけられませんでしたが、学校の図書室にいくと全部揃っていました。
――本を読むのが好きな子供でしたか。
夕木:そうですね。家が厳しくて漫画などは読ませてもらえなかったので、娯楽の中心は本でした。ただ、存命作家のものはほとんどありませんでした。
自分もあまり現代を書いた本には関心がなかったですね。特に乱歩に惹かれたのは、現代とは違うけれど確実に存在した世界が書かれているところだったと思います。時間軸は違うけれども、まぎれもなく現実をベースにしてああいう世界が書かれているということが面白かったんでしょう。
――読む本はエンタメ系の小説が多かったのですか。
夕木:そうですね。あとは図鑑をよく読んでいました。鳥類図鑑とか、魚類図鑑みたいなものとか。
――学校の国語の授業や作文は好きでしたか。
夕木:国語の授業は好きなほうだったと思いますね。作文も、そんなに苦労した覚えがないので好きだったんだと思います。
――放課後はどのように過ごすことが多かったですか。
夕木:本を読んでいることが多かったです。それと、パズルの類が好きで、よく遊んでいました。
――振り返ってみて、どんな子供だったと思いますか。
夕木:おとなしかったと思いますね。もう世に出ている情報なのでお話ししますと、当時うちはいわゆる新興宗教の家庭でして。ある種、その思想教義がベースにあって、真面目にその信仰に沿った生活をしていました。そういう意味でも、おとなしかったと思います。
――生活習慣にもいろいろ制限があったのですか。
夕木:そういう家庭は漫画、アニメが駄目な場合が多いんですよね。ただ、当時のことは自分の中である種封じ込めているので、はっきりしない部分があります。まあ、影響として残っているのは、10代の半ばくらいに信仰を失った時の現実崩壊感ですね。それはいまだに自分の根底に残っています。小説を書こうかなと思ったのも、その影響が相当あったと思います。




