3月24日(木)新宿地下街マップ

新宿駅はなぜ1日364万人をさばけるのか (SB新書)
『新宿駅はなぜ1日364万人をさばけるのか (SB新書)』
田村 圭介,上原 大介
SBクリエイティブ
864円(税込)
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 インタビューが終わってタクシーで池林房まで向かう途中、新宿南口の前を通りかかると、「あれは何だ?」と椎名が言う。「バスターミナルを作っているみたいだよ」と言うと、「違うよ、あっちのビルだよ」。椎名が指さすほうを見ると、大きなビルが建っている。あんなビル、いつの間に出来たんだ?

 田村圭介・上原大介『新宿駅はなぜ1日364万人をさばけるのか』(SB新書)によると、その大きなビルは「JR新宿ミライナタワー」で、低層階が商業施設、その上はオフィスになるんだそうだ。この春にオープンするらしい。それにしてもどんどん新たなビルが出来ていたりするから油断できない。この本には、新宿駅の東西に建っている商業施設の建て替えプロジェクトがそのうち始まるのではないかとの推測も書かれているが、それは東側のルミネエスト、西側の小田急百貨店、京王百貨店の建物が完成から50年ほど経つので建物の老朽化を考えればそろそろ建て替えの時期になるということらしい。そうなると新宿駅に超高層ビルが出来る日もやってくるということだ。新宿はどんどん増殖して終わりがないのである。

 ところで新宿は地下も入り組んでいて、沖縄で活動しているゲームクリエイター上原大介氏は新宿の地下街で迷ってしまったことを本書で書いているが、『新宿駅はなぜ1日364万人をさばけるのか』の冒頭に、新宿地下道マップを掲げている。新宿の全体を表す地下マップは存在しなかったらしい。ふーんと思って、その地下道マップを見ていたときのことだ。なんだこれ? という地下道があったのである。

 新宿伊勢丹の角、つまり新宿通りと明治通りが交わる交差点がありますね。その地下には丸の内線と副都心線の新宿三丁目駅がある。そこは以前、JR新宿駅方向からまっすぐ伸びる地下道が通っていて、その先は少しだけ左にカーブして都営新宿線の新宿三丁目を過ぎてビッグスビルまで伸びていた。つまり、ほぼ一直線の地下道である。副都心線が出来たときに、この一直線の地下道がT字に変わる。新宿伊勢丹の角の地下から高島屋まで明治通りの下を行く地下道が出来たのである。副都心線の新宿三丁目駅のホームを上から覗くことが出来るという面白い構造で、この地下道が出来たことは知っていた。

 ところが、『新宿駅はなぜ1日364万人をさばけるのか』の冒頭に掲げられた地下道マップには、その新宿伊勢丹の角の地下から明治通りの下を、花園神社の先まで続く地下道が載っていたのだ。何なんだこれ?

 新宿はわが街である。本の雑誌社が信濃町から新宿五丁目の新宿通りに面したビルの8階に事務所を移転したのが1983年。新宿御苑前に移転したのが1989年。笹塚に移転したのが1993年だから、10年は新宿に会社があったのである。笹塚に移転してからも、池林房は移転してないから、それはもう通っていた。

 さきほど書いた「一直線の地下道」は池林房にいくときに歩く道でもある。新宿駅で下りてこの地下道をまっすぐ歩き、都営新宿線の新宿三丁目駅を過ぎたところにある階段を昇ると池林房なのだ。だから、笹塚に移転してからも何百回もその地下道を歩いている。伊勢丹の角(の地下)を通りすぎ、階段を少し下りてから左に曲がって、というのはいつものコースといっていい。副都心線の新宿三丁目駅がその角(の地下)に出来て、ふーん、ここを右にいく地下道が出来たんだとすぐに気がついたのもそのためである。
 
 しかし自信を持って断言するが、その角がT字ではなく、十字路であるとはあり得ない。だって何百回も通っているのだ。左にいく地下道が出来ていたら、いくらなんでも気がつくだろう。しかもその伊勢丹の角(の地下)を新宿駅から行って左に曲がり、右の階段を昇ったところのファースト・キッチンではよくコーヒーを呑むのだ。つまり追分交番の後ろにある角のビル(1Fにルイ・ヴィトンが入っているビルだ)の地下にある店だが、意外に空いているので以前から結構気にいっている。で、その店を出るときに階段を下りて左にいくと伊勢丹の角(の地下)に戻るのだが、その前方にあるのは壁だけで地下道なんて存在しない。本の雑誌社が新宿にあったころの話ではなく、ごく最近もそのファースト・キッチンでコーヒーを呑んでから、階段をとんとんと下りているから(何度もだ!)、視覚の記憶は鮮明である。

 よおしと、用もないのに新宿に行くことにした。そんなばかなことがあるか。新しい地下道が出来ていたのに、そこをいつも通っている人間が気がつかないなんて、そんなことがあるわけがない。で、JRの新宿駅から一直線の地下道を伊勢丹の角(の地下)まで歩いてきて、右には高島屋まで続く地下道があるよな、で、この左に新しい地下道が──そんなもの、あるわけないだろと思って、角に出た瞬間、左を見ると、おお、これはわからない。これでは私、気がつかない。

 角を通りすぎるとき、真横を見れば気がつくのである。つまり、なんと説明すればいいのか。少し引っ込んでいるのだ。しかもすぐに階段で下りる構造になっているから、遠くまで続く地下道の景色が広がっていない。しかもその幅が圧倒的に狭く、私がよく行くファースト・キッチンへのアプローチのほうが広いので、角を通りすぎたときに真横を見ないかぎり、そちらの地下道が目に入ってこない。さらにその地下道は壁に遮られているので、ファースト・キッチンから出てきたときも目に入らない構造になっているから、念には念を入れている。いや、別に隠しているわけではないんごたろうが。

 まったく不思議な地下道で、ずっと歩いていくと、新宿区役所第二分庁舎分館の前に出る。そこに用のある人にとっては雨の日も濡れずに行けるから大変便利だろうが、それ以外の人には役に立つんだろうか。しかも花園神社の横にも出口はあるけれど、その手前に全然なく、伊勢丹に近いところに2カ所あるだけ。その間に全然なしという不思議な地下道だ。

『新宿駅はなぜ1日364万人をさばけるのか』の記述を疑って本当に申し訳なかったと思う。出来れば、それぞれの地下道がいつ出来たのか、それも調べていただければ嬉しかったが、それは贅沢な注文というべきか。