1月18日(金)
朝、新宿駅のJRと京王線の乗換え口で、定期券が飲み込まれたまま出てこなくなった。すぐさま駅員さんを呼びに行き、機械を探すが見つからない。いったい僕の定期券はどこへ行ってしまったのか?
「お客様、時間はありますか?」と聞かれるが、通勤途中に時間なんてあるわけないじゃないか。しかし、かといってこのまま「無い」と言って消えるわけにもいかず、言われるままに事務室に連れて行かれ、引き替え定期券というのを作らされた。見つかり次第連絡をいれると言うが、いったいどうなってしまったのか。
若干遅れて会社に着くと、京王線から連絡があり、見つかったという。いったいどこにあったんだ!と質問するがハッキリ言わない。とにかく営業に向かう途中に立ち寄り、自分の定期券を引き取る。
さて、本の雑誌社は大変小さな会社のため発行人(これは普通の会社でいう社長のこと)の浜本もバリバリ実務をこなさなければならない。原稿の依頼からレイアウト、企画などなど、いわゆる普通の編集者が行うことを全てやっているのである。
今、午後5時38分。その浜本が作業机で3月号のレイアウトをしている。レイアウト用紙と電卓を睨みつつ、すでに1時間以上独り言をブツブツ言っているのだ。そしてその独り言がとにかく騒々しく、そして異常だ。ちょっとリアルタイムに書き出してみよう。
「これはこうしてみたけど、ちょっとおっかしいかなあ。ああ。スースー」
「これを~、じゃ~、こうしたら、ズンズン。」
「はぁ~、ちゅうちゅう。」
「納得がいかない!」
今は、定規をあて鉛筆で線を引いているから無言。
出来上がったレイアウトを遠目で確認。
鉛筆削りで鉛筆を削る。
「だれか~、教えて~くれよ~。」
「あぁ、腹減ったなあ~、ズンズン。」
「うーん、こっちをこうして~。うーん、ダメなんだなぁ。コレがぁ!!
わかっているでしょうそんなこと、ズンズン。」
「やり直しったら、やり直し。」
鼻歌で競馬のファンファーレを歌い出す。
と、ここまで書いていて僕はあまりのおかしさにこらえられなくなって吹き出してしまった。すると浜本が顔をあげ「お前、何をそんなに見つめているんだ、おい何をやっているんだ」と怪しみつつ、僕のパソコンを覗いてくる。あわてて保存。
とにかくここに書き上げた独り言はすべて本当である。決して「作り」でありません。そういえばいつだかネットの企画で社内にビデオを設置するという話が出たときに一番反対したのが、この発行人浜本だった。今更ながらとても放送できない会社だということに僕は気づいた。