1月21日(月)
昨年末、浜本と二人、新設されたHP「ほんや横丁」の原稿依頼のため執筆者となる書店員さんを廻っていた。
本の雑誌社はとてもチビ会社のため、編集・営業それぞれ各自の仕事をこなしていかなければならず、このようにコンビを組んで動くことはほとんどない。今回は書店員さんの連載ということで人選を僕が担当し、その後は浜本が原稿を見ていく形になったため、互いに時間を合わせ、打ち合わせの段取りをすることになった。待ち合わせの池袋で合流したが、妙に落ちつかず、また二人でいることに照れもあって、時間まで店内で意味もなく本を取り上げたり、声をあげたりしていた。
1件目の打ち合わせが滞りなく進み、移動の時間を差し引いても、次の打ち合わせまでかなりの時間があった。
肩を並べて、池袋の雑踏を目的もなくぶらぶらと歩いていた。すると浜本がポツリと漏らした。
「杉江くん、大丈夫なの?」
「はい?」
何のことだかわからず問いただすと、浜本は歩みを止め、意を決した顔で話だした。それは、給料に関することで、僕のこれからの生活を考え、今のような零細出版社の低賃金で暮らしていけるのか?ということだった。浜本はずっとそのことが心配だったようで、「杉江君みたいに若くて元気の良い奴は、他にも仕事があると思ってね。で、いつ、もっと待遇の良いところに転職するって言い出すか怖くてさあ。そうなったら止められないじゃない…。まあ、話を聞いたからって給料をあげられる訳じゃないんだけど…。」と力なく笑った。
その話を聞いていて、僕はふたつの想いが交錯した。そのひとつは、確かに金は欲しい。しかし金で動くようなら元々この会社に転職して来なかったであろう。なぜならその時点でかなり給料が下がっているのだから…。本の雑誌社に転職して、4年以上経っていて、それがわかってもらえていないという憤り。
もうひとつは、こんな僕でも必要としてくれているという喜び。
ふたつの相反する気持ちをうまく言葉に表現することができないまま、僕は浜本に答えた。
「まあ、今こうやって生活していられるんだから、大丈夫じゃないですか。サッカー以外あまり望みもないし…。それに僕はそんなことで辞めませんから、安心してください」と。
それからしばらくこのことについて考えていた。友人達とも会って話をした。友人の考えは、「オレは今の会社で充分だよ」と答えるのが何となく気恥ずかしくなるくらい、それぞれ次なる仕事への野望を抱いていた。
僕は何か間違っているのか…。
誤解を恐れずに、そして傲慢に結論を出すなら、僕の大好きな言葉『WE ARE REDS』や『PRIDE OF URAWA』と同じように、今の仕事に対して『WE ARE 本の雑誌』であり、『PRIDE OF 本の雑誌』であると考えている。そう、椎名や目黒や沢野、そして浜本がいて『本の雑誌』なのは重々承知している。しかし、それだけではないとも思いたい。僕自信、微々たる能力だけれど、自分としては「僕がいて『本の雑誌』なんだ」と。
その誇りを胸に、僕は書店さんを廻っている。
そんな仕事を辞められるか!