1月29日(火)
いつもは鞄のなかに本が2、3冊入っている。それは営業用の自社本ではなく、ただただ移動の際に読む本だ。読みかけの本、次に読もうと思っている本、気分転換になる本など。
しかし、今日は鞄のなかに本がない。いや、わざと本を持たずに出社したのだ。その理由は、昨夜読み終わった本について、じっくり考えたいと思ったからだ。
その本を読み始めたきっかけは、ある書店員さんからの紹介だった。営業に行った際、見慣れぬ本が売上ベスト10に入っているのを見かけ、「アレなんですか?」
と思わず聞いてしまった。
すると、いつもはわりと寡黙な書店員さんが、急に熱をおびて話し出す。
「お店のみんなで読んで、すごく良くて、これを売ろう!って手書きのポップを書いて多面展開してみたんです。そしたら出版社の方がビックリするほど売れちゃって…。とにかく売れる、売れないなんて関係なく、すごい感動する本なんです。」
その話を聞いて、あわてて僕がレジに持っていった本は、『わたしが・棄てた・女』遠藤周作著(講談社文庫)である。そのお店を後にして、すぐにページをめくりだし、あっという間に読み終えたのが昨日のこと。
僕は書評家じゃないので、うまく本を説明することができない。それでもこの小説をなんと表現したら良いのかずっと考えているけれど、良い言葉が思いつかず、もどかしい。とにかく恋愛小説とか青春小説とか、そういうジャンルを越え、もっと奥深い物を突き刺してくる小説だ。そして感動のなかで読み終え、その後、思わず自分を振り返り、いろんなことを考えさせられてしまうのである。
しつこく書くけれど『わたしが・棄てた・女』遠藤周作著(講談社文庫)。
多分、僕が生まれた翌年(1972年)に文庫になっていて未だに重版され続けているのだからとても有名な本なのであろう。この文章で僕がまた自分の無知さをさらけだしているのは承知で、是非、この本が多くの人に読み継がれていくことを、紹介してくれた書店員さんともども願うばかり。