WEB本の雑誌

2月13日(水)

 田園都市線に乗り換えようと渋谷駅で降りる。するとコンコースにいつも以上の人だかり。いったい何に群がっているんだと覗いてみると、ショーウィンドーにキレイに並べられたチョコの山。そうか、明日はバレンタインデーだったのか!とすっかり頭から抜け落ちてしまっていた年間行事を思い出す始末。

 10代の頃、2月14日がとても楽しかった。いきなり知らない人からチョコをもらったり、部活の帰りに同級生に待ち伏せされたり、後輩が家に届けにきたりして、あの頃、なぜか僕は異様にモテたのだ。きっとみんながまだ成長過程で僕のチビも目立たなかったからだし、おでこだってこんな谷村新司ばりに広くはなかった。くそー、男は3度モテる時期があるというけれど、僕は幼・小・中であっけなくその大切な時間を使い果たしてしまって、その後は階段どころか、エレベータで急下降したような人生だ。目黒考二ばりに過去を懐かしんで思わず渋谷名物モヤイ像の前で涙する。その時、ハッとあることを思いだす。ヤバイ…。

 実はそのバレンタインデー当日である明日に飲み会を企画してしまっていたのである。このホームページを製作しているメンバーで遅ればせながら新年会をやろうと。本の雑誌社、製作のB社、運営のH社、総勢10数名になる飲み会で、そこには女性も多い。これはもしかするととんでもない日を選んでしまったのではないか。ああ、きっとそれぞれ恋人同士の間でこんな会話が交われたんじゃないだろうか。

「バレンタインデーなんだけど、飲み会が入っちゃって、会えないかもしれない…。」
「なんだよ、それ。」
「仕事の飲み会だから、出席しないわけには行かないのよ。」
「あのさ~、普通、そういうのはバレンタインとかクリスマスとか外して企画するんじゃないの。」
「知らないわよ、取引先のH社のチビがその日を指定して選んだのよ。」
「嫌な奴だな~。」
「そうそう、まだ30歳のくせして、きっと義理チョコが欲しくてその日にしたんじゃないの。もちろん私は買って行かないけどね。ごめんね、トシ君。」
「ああ、仕事じゃしょうがないよ。けど、オレ、絶対そんな男にはなりたくないねぇ。」

 う~、最悪だ。僕が例えバレンタインを忘れていたと言っても絶対信じてもらえないだろうし、そもそも目黒の都合を聞いてこの日にしたのだ。でも、こういうことの無実を証明するのは難しい。ああ、そういえば、本の雑誌社女性陣、事務の浜田と編集の松村の都合を聞いたとき一瞬眉をひそめられたのだ。どうして忠告してくれなかったんだ。ああ、最悪だ。