3月12日(火)
大手町のK書店さんを訪問。すると、文芸書の棚で今までの担当者とは違う書店員さんが棚差しをしていた。もしや担当替えかと思いつつ、ご挨拶。すると、やはりそのもしやで、もっとつらいのは今まで担当だったMさんが退職してしまっていたということだ。ああ…。
退職されたMさんは、とても元気でハキハキした書店員さんだった。裏表のないスッキリした対応で、いつも面白い話を聞かせてもらっていた。最後にあったのは1月の中旬か…。お別れの挨拶も、今までのお礼も伝えられなかった。悲しい…。
新担当のEさんの話によると、元々結婚などの諸事情により近々退職予定だったが、体調を崩してしまって、時期が早まったとか。こういう話を、根ほり葉ほり詳しく聞くことが僕には出来ない。何だか他人にプライベートな部分に踏み込むのは失礼なような気がして仕方がない。
だから、ある程度話を聞いた段階で「書店さんの仕事はとても大変ですから、Eさんも体調には気を付けて下さいね。身体が一番大事ですから、あんまり無理しないで下さいね。」とご忠告。いきなり初対面でそんな心配をする営業マンをEさんは不思議そうに見つめ、笑顔で「ありがとうございます」と答えてくれた。
ところが、お店を出て数歩歩いたところで僕は思わず赤面してしまう。自分で自分は見えないけれど、顔が火照っていくのがわかった。先ほどの会話でキーワードは「結婚」「退職」「体調不良」である。ちなみに前任のMさんは女性だ。ならば、この3つの言葉で連想されるのは、もしかしたら「妊娠」なのではないかということに気づいたからだ。
もしそうだとしたら、僕はとんでもない会話をしていたことになる。新任のEさんも若い女性で、そのEさんに向かって僕はやたらに「体調には気を付けて下さい」と連呼していたのだ。これに推測を当てはめるならば、僕は「妊娠しないように気を付けて下さい」と言っていたことと同じではないか! 笑っていたのはそのせいだったのかもしれない…。事実はわからないけれど、もしそうだったとしたら、とにかく恥ずかしい。
営業は瞬間、瞬間の戦いである。相手の反応や表情を確かめつつ、流れていく会話から状況を判断していかなければならない。何気ない一言が注文を5にしたり10にしたり、あるいはそれ以上にしたりする。いや、そんな注文部数なんてある意味どうでもよくて、担当者と意志の疎通ができなければ、人間関係だってうまく築けやしない。
そのためには、もう少し頭の回転を早くしないとダメだ。今日の失敗が失敗でないことを祈る。