3月13日(水)
印刷会社から『恋愛のススメ』のネット注文分がいち早く届く予定で、その到着を社内に残ってしばし待つ。納品次第、著者にサインをしてもらい、ほんやタウンさんに届けなくてはならないのだ。このような予約特典販売は初の試みだったが、予想以上の反響に浜本と二人驚いてしまった。
<ちなみにあの予約ページに書かれていた3月19日というのは、問屋さんへの搬入日であって、発売日ではありません。予約して頂いた方々に書店さんから連絡が入るのは、数日後になると思いますので、予めご了承下さい。>
午後2時過ぎ、あっさりとしたキレイな装丁の『恋愛のススメ』が届く。単行本編集の金子に「いい仕事しましたね」と本を手渡すと、「あっれ~?」と大きな叫び声をあげ、ドタバタと机の上をひっくり返し始めるではないか。どうした? どうした? ISBNコードも間違っていないし、定価の記述もOKだし…。何か?
顔面蒼白の金子は、やっと見つけた書類を広げ、
「うわー最悪、PPが指定と違うよ…」と言ったまま絶句してしまう。PPとは、カバーの紙に薄いビニールのコーティングをすることで、装丁家の多田さんからの指定はピカピカの仕上げになるようなものであったらしいのだ。手元にある『恋愛のススメ』を見ると確かに少し曇ったPPが貼られている。
大騒ぎしている金子をしり目に、営業の僕はつい納期のことばかり考えてしまう。
「そんなの何だっていいんじゃないんですか? とりあえず搬入に間に合えばいいんですから」と発言したところ、
「杉江君は全然わかってないよ、装丁は、装丁家の作品なんだよ、それが指示通りにあがっていないというのは、ものすごく大きな問題で、それをそのまま商品として流通させるなんて、とんでもないことなんだよ!」と烈火の如く怒られてしまった。
確かに金子の言い分はその通りなのかもしれないので、素直に謝る。しかし、営業マンとして納期変更が出来ないことだけはハッキリ伝えた。営業と編集の小さな戦い。
その後、印刷会社とのやりとりにより、ミスの原因はわかった。こちらのミスではなく、印刷会社のミスだった。いやそんな犯人探しはどうでもよくて、納期までにカバーを刷り直し、初版分すべてに掛け替えても間に合うことになったのだ。一安心。
搬入日の雨は売れるというジンクスを何度もこの日誌で書いてきたが、実はもうひとつ大きなジンクスがある。それは「ミスのあった本は売れる!」ということだ。今まで何点かコードの記述ミスであったり、スリップの印刷ミスなどがあった。そんな本は今まで全部を予想を越えて売れてきたのだ。
これでもし19日が雨だったら、『恋愛のススメ』の未来は決まった同然だ。雨よ、降れぇ!!