3月26日(火)
本日は新規店2店を見学がてら営業に出かける。その2店とは、下北沢のS書店と渋谷のK書店である。まずは下北沢から。
駅前の大丸ピーコックの3FにできたS書店。入ってまず驚いたのが、平台ではなく棚だった。なんと一番目につくであろうエスカレータ前の棚が心理・宗教・歴史書などといったいわゆる人文書だったのだ。たいてい書店さんのメインの棚というのは、雑誌あるいは話題の文芸書かビジネス書で構成されていることが多いので、これにはちょっとビックリ。もしかしてこの近くにそちら方面に強い学校でもあるのだろうか?
疑問を持ちつつ、店内をひと回り。下北沢らしく演劇の棚が多く取られていたり、また学参もかなりの棚数になっている。ああ、コミックとゲームのコーナも大きいな。ぐるぐる棚を見ているうちにもうひとつ大きなことに気づく。それは、やけにお客さんの年齢層が高いということだ。
このお店が出店されると聞いたとき、多くの関係者が下北沢=若者が集う場所というイメージを持ったと思う。だから売れ筋も渋谷や新宿などにあるP書店やA書店に似てくるのではないかと、僕は考えていた。もちろんそれは一部で正解で、この日も駅前に多くの若者がたむろっていた。
ところが、いざオープンした店内にいるのは、妙に年齢層が高いお客さん。たぶんビルのテナント(1Fはスーパー)の関係なんだろうと思いつつ、既に高田馬場店でお世話になっていた担当のTさんに話を伺う。
「そうなんですよ、予想以上に年齢層が高くて、オープン数日の売れ方を見ていると渋い本を買っていかれるお客さんが多いですね。夕方になると下でお買い物をして、ネギや大根をビニール袋に下げたお客さんがいっぱい来るんです」
うーん、もしかすると、もしかして、ここS書店さんは、基本的に地元のお客さんが主になるのではないか。下北沢と言っても駅前を離れれば完全な住宅街。多くの住民が住んでいるのは間違いなく、なるほど、なるほどとひとり合点した。
きっとこのS書店さんはこれからどんどんそのニーズに合わせ、商品構成を変えていくのだろう。Tさんがどんな棚に変えていくのか楽しみに思いつつ、次なる新規店渋谷のK書店へ移動する。
京王井の頭線渋谷駅の真下にオープンしたK書店さん。こちらは改札口周辺で、イベントコンパニオンを使っての大々的なアピール。これはかなり力の入れようだ。駅からすぐのお店に入るといきなりこちらでも驚く。
このK書店さん、1Fが狭く、地下が広いという変わった店舗なのだが、その狭い方の1Fが映画専門の棚になっているではないか! 映画関係の書籍はもちろん、パンフやビデオなどもドーンと置いてある。これはちょっと面白い展開になるのではないか。
ワクワクしながら下へ降りていくと、今日オープンがウソのような落ちつき。あっ、これはお客さんがいないというわけではなく、棚や平台に乗っている本がしっかりセレクトされているということ。たいていお店のオープン時期というのはバタバタしてしまって、新刊の補充が追いつかなかったり、埋め合わせの本が平台に乗っていたりするものなのだけれど、こちらは余程手を入れた様子で、ずーっと前からオープンしていたお店のようなしっかりした状態なのだ。
顔見知りの営業マンがいたので、そのことを話すと同感だった様子で、「すごいですよね」の感嘆のお言葉。さすが、業界屈指の凄腕書店員Aさんがいらっしゃるお店ですねと僕も頷く。
客層は他の渋谷の書店さんに比べると男性客が多いような気がした。これは渋谷の書店さんがしっかり住み分けできるかもしれない良い傾向か…。
そしてこのK書店さんで何よりも驚いたのが、接客の良さである。「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」の基本はもちろん、本が見つからないお客さんに対し、しっかり丁寧な言葉で棚前まで案内している。そして最後にこう言葉をかけていた。「もしまた何かご不明な点がございましたら、お声をおかけ下さい」と。それが決してマニュアル言葉ではなく、心から出てきた言葉のように僕は感じた。これだけしっかり接客していたら、きっとリピーターが増えるだろう。
担当のAさんに挨拶しようと思ったが、オープン初日であまりに忙しそうなので、そのままお店を後にした。2店とも今後どのような展開をしていくのか、非常に楽しみだ。