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4月14日(日) 炎のサッカー日誌 2002.04

 負けたくないのはサッカーだけでなく、応援もだった。北の大地に出来たこのベガルタ仙台、いまやしっかり根付いて多くの熱狂的サポに声援を受けている。通常ホームで使用される仙台スタジアムは、いまや毎度満員で、チケット確保も大変だとか。応援に関しては誰にも負けない自信がある我らレッズサポとして、いつもは地方まで足をのばすことのない腰砕けサポーターの僕も、ついつい「PRIDE OF URAWA」を見せたくて駆けつけてしまったではないか。

 朝からズラリと並んだ新設宮城スタジアム。本日のチケットもほぼ完売だとかで、大変な人出。しかし、まだW杯向けの工事をしているようで、所々ベニヤ板で囲まれている。これで約2ヶ月後の開幕に間に合うのだろうかと考えながらスタジアムを一周。

 ホーム側に並んだ人達が着ているユニフォームが目に映える。ベガルタ仙台は黄色がホームのカラーなのだ。これはいったい何を象徴した色なんだろうかと頭を捻ると、ちょうどある物が目についた。それは公園の芝に生えた、たんぽぽだった。その鮮やかな黄色と、ベガルタの黄色は同じだったのだ。もしかしてこの黄色?

 開場と同時にどっと人がなだれ込み、その黄色に囲まれた我がレッズ。こんなにも敵地であることを感じさせられるチームはそうそうないだろうが、しかし。どうもベガルタサポ、優しい印象なのだ。こちらは、「おんどりゃ、ぶった押してやるぜ!」と意気込み、眉間にシワを寄せているというのに、なんと試合開始前に一般人の結婚式をグランドで行っているではないか。何だか拍子抜けというか、肩すかしを食らった気分。そうか、そういえば、黄色は幸せの象徴だ。そんな映画があったはず。サッカーにかける気持ちは土地それぞれ違うのだろう。

 それにハーフタイムには、幸せ家族のフリーシュートコーナもあり、何だか家族を置いて出てきた身にはつらい一撃。一緒に観戦しているOさんがポツリ。「和みだねぇ」

 もちろん、そんな幸せな雰囲気に惑わせれることなく、レッズサポは大声を張り上げいつもの大コール。負けたくねぇ、負けるわけにはいかねぇ、絶対勝つぜ!と気持ちを盛り上げ、選手にもそれが通じたのか、ファイトある試合が繰り広げられた。

 僕は年に数回本気で祈ることがある。1999年11月27日(J2降格決定日)や2000年11月19日(J1昇格決定日)など。それは神様や仏様に祈るわけでなく、レッズのエンブレムに向かって祈るのだ。この日、同点のまま延長に入ったとき僕は深く深く祈った。今日はどうしても勝たせてくださいと。

 必死の願いが通じたのか、延長前半12分、大将福田のVゴール。興奮、歓喜、涙と感情が総動員で寄せてくる。

 いつまでも、いつまでも宮城スタジアムに浦和コールが鳴り響いていた。仙台サポの中には、そんな僕らを笑顔で見つめている人もいた。本当にこの土地のサポーターはどこまでも優しく、幸せの象徴なのかもしれないと思った。