4月19日(金)
ふっと気になってカレンダーを眺めていたら、そうか来週はゴールデンウィークなのかと気づいた。本の雑誌社はなんと4月27日(土)から5月6日(月)までの超大型10連休になっている。普通自分の勤めている会社が10連休だったら小躍りして喜ぶよな…と考えつつ、僕は逆に憂鬱な気分になっていく。
どう考えても5月20日搬入予定の新刊『弟の家には本棚がない』の営業活動が終わらないのだ。営業ルートと事前注文の〆日までの日数を両手の指を使って考えてみるが、いくら数え直しても足りない物は足りない。元々フルに月22日間働いたとしても営業日数が足りないのだからそれも当たり前。
そういえば、本の雑誌社に入社するとき、Tさんにこう言われたのを思い出す。
「うちはですね、給料が少ない分、年末の休暇とGWの休暇は長いんです」
なるほどそういう利点があるのかとその時まだ純真な心を持っていた僕は喜んだ。そして確かに毎年、年末年始やGWになるとカレンダーの赤印と関係なくドーンと連休にしてくれる。しかしTさんは前言の言葉に続けて小さな声でこうも言ったのだ。
「仕事が終わればなんですけどね…」
そうなのだ。その時まさか自分がその仕事の終わらない方に入るとは思っていなかった。出版社なんだからきっと編集部が忙しいだろうと高をくくっていたのだ。ならば長い休暇を利用して僕はとっとと海外へサッカーを見に行こう…なんて考えていた。
ところが一年目のGWを迎えたとき、僕の目の前には山のように仕事が積まれていた。元来責任感なんて言葉を知らない僕も、さすがに営業ひとりの会社では逃げる訳にもいかなくなった。海外サッカー三昧どころか世間の休みである赤印の日ですら本屋さんを廻ることとなっていく。
そもそも根本的に考えてみると、休みを決めるのは発行人で、発行人が所属するのは本の雑誌編集部。その編集部の都合に合わせて連休を決めるわけで、編集部はそのスケジュールに合わせ著者やライターに〆切を提示すれば事が済むのであろう。まあ、本人達もかなり無理をしているのは間違いないのだが…。
しかししかし。悲しいことに営業マンや営業事務や経理は、基本的に相手の都合にあわせて動く仕事である。部決や支払いや請求書の作成などすべて取引先に合わせスケジュールを組んでいき、特に忙しい月末に長期を休みを振り分けられても困るのだ。
結局今年も10連休を謳歌できるのはほんの少数で、事務の浜田や経理の小林はバラバラと出社することとなっている。
ちなみに僕の営業という仕事は、編集部がほっと一息ついた頃からが勝負なのである。ということは海外サッカーどころか、この10連休がいったい何連休になるのか? せめて赤印の日だけは休みたいと願っているが本当に休めるのか今のところ皆目検討がつかない。
とにかく休み獲得のため来週は馬車馬のように営業しなければならない。ニンジンがぶら下がれば、駄馬も走るというもので、きっと狂ったように僕は営業をするだろう。もしかして発行人はそこまで考えて休みを決めているのかも知れない…。
ちなみにTさんが話した「給料が少ない分、年末年始とGWの休暇は長い」というのには、大きな落とし穴があって、実は本の雑誌社には夏休みがなかったのだ…。
追記)休みのことで、ブツブツ不平を言っていたらなんと松村も金子もバラバラ出社するという。ということは結局みんな仕事をしていて、ならばいったい何のための10連休なんだろう?