5月8日(水)
『本の雑誌』6月号搬入日。雑誌を出している出版社にいると、その雑誌の発売で1ヶ月を理解する。それにしても1ヶ月なんてあっという間だ。なぜか営業マンが書かされている編集後記の〆切日、完徹の編集部が散らかした会社に出社する下版日、そして120冊を持って階段を駆け上がる搬入日と時は過ぎていく。それが12回集まれば1年の経過で、何だか年々その時の過ぎ方に拍車がかかっているような気がして仕方ない。
お気に入りの作家が、こちらの興味のあるテーマを小説にする…というのはとても期待の高まるものだが、その結果が裏目に出ると最悪の状況になるようだ。村上龍の新刊『悪魔のパス 天使のゴール』(幻冬舎)のことなのだが、これがもうちょっとヒドイ小説で、今まで散々外れはあったものの、ここまで酷くなると、たまの佳作を期待してすべて購入するほどの意欲もなくなっていく。何だか怒りを通り越して悲しくなってしまった。
なぜか海外サッカー愛好者の書き手は、海外のサッカーを描きつつ、日本サッカーや日本サッカーの観戦者を批判をする。しかし、本人達はまともにJリーグを見ているわけでもなく、ただただ印象で語っていることが多い。頼むから見てもいないJリーグに余計な口出しはせずに、海外のサッカーだけを勝手に見てレポートしてくれ…とJリーグを真剣に見ている僕は思う。
そもそもイタリアにしてもイギリスにしてもスペインにしても、サッカーっておらが町のチームを応援し楽しむものなんじゃないのか?
まあ、こんなことを書いているとキリがないので辞めておくけれど、『サッカーの敵』(白水社)や『ワールドカップ・メランコリー』を書いたサイモン・クーパー、超傑作『ぼくのプレミアライフ』ニック・ホーンビィ著(新潮社)などの海外の書き手が描くサッカーの文章を読む限り、Jリーグ選手やJのサポーターよりも、よほどサッカーライターの方が海外に遅れを取っているような気がするのはどういうことだ。
早く日本人でしっかりサッカーの書ける書き手が出てくる日を、サッカーバカ&本好きのひとりとして願うばかり。