5月9日(木)
飯田橋の深夜プラス1浅沼さんを訪問すると「今年のナンバー1が出たよ!」と大興奮しているではないか。「えっ、それは先月訪問した際に聞きました『著者略歴』ですよね」と答えたら「違う!違う!『著者略歴』に判定勝ちしたんだよ」と2冊の本を渡される。『アトランティスのこころ』S・キング(新潮社)だった。
どうして本好きはすぐさま「今年のナンバー1」という言葉を使うのか? 顧問目黒しかり、茶木さんしかり。まだ今年も半年過ぎていないというのに。
笑いながら浅沼さんから上下巻2冊の本を受け取ったが、どうしてハードカバーなんですか? これって確か文庫も同時発売で話題になっていたじゃないですか? もしかして内容が違うんですか?と疑問だらけで浅沼さんに質問すると
「いやー、その方が儲かるでしょう。うちはノルマ書店だから営業マンは最低5冊のお買いあげ、ご協力よろしくお願いします」と笑いながら話される。いやその目、笑っていないんじゃないか…。
ところが僕がすでに『アトランティスのこころ』を購入済みだと知ると、今度は急に話題を変えられ半村良へ。「凝っているんだってぇ…。じゃあコレね」と渡されたのが『産霊山秘録』(角川春樹事務所)。まあ、浅沼さんにしてやられているような気もするけれど、僕にとっては読書の師匠なので、嫌な気分どころかうれしい気分で購入し、その後柏方面へぐぐっと移動する。
その移動の最中、もし全国の書店さんで出入りの営業にお薦め本を売り出したら、それだけでかなりの売上になるんじゃないか?とこちらとしてはかなり恐ろしい発想が思い浮かんでしまった。ちょっとそれは断りずらいし、信頼している書店員さんのお薦めだったら読みたくもなる。もしかすると営業マンなんて、押すことばかり考えていて、逆に押された場合非常に脆いような気がする。
ああ、注文を取った数よりも、お薦め本の方が多かったりしたらこりゃ大変。いや、売上は会社の財布に入り、本の購入はどっちみち自腹だから何冊だろうと関係ないか。うーん、あまりにおそろし過ぎる発想なのでこれにて失礼致します。