WEB本の雑誌

5月14日(火)

 夕刻から突然会議の招集を受ける。元々ゴールデンウィーク明けにやろうと話していた企画などの打ち合わせがのびのびになっていたのだ。浜本、金子、松村と雁首揃え、あーでもない、こーでもないと2時間半が過ぎていく。

 編集者の考えと営業マンの考えがくい違うのはこの1点に集約されると思う。それはこんな条件で

1. 内容に自信があって、売れる自信もある本
2. 内容に自信があって、でも売れる自信がない本
3. 内容に自信がなくて、でも売れる自信がある本
4. 内容に自信がなくて、売れる自信もない本

この(2)と(3)の優先順位が違うのだと。

 僕は営業だから、とにかく売れる可能性の高いものを追い求める。もちろん(1)が一番いいけれど、それが例えどんな安直な企画だとしても、上の条件で言えば、(2)より(3)が上位なのである。しかし編集者はそれに拒否反応を起こす。そんな本は作りたくない!と。

 そして変わりに挙げてくる企画といえば、これがまた営業のしづらい本なのだ。例えば無名の新人であったり、内容が今の売れ方に即していなかったり…。

 夜遅くまで、机を囲んで互いに言いたいことを言い合いながら、徐々に企画が固まっていく。そして内容だけでなく、本の判型や表紙のデザインなども決まっていく。

 これは当たり前のことだけど、営業や編集どちらか片方の意見だけで本を作っていたら大変なことになってしまうだろう。売場を見ていない本、売場だけを見ている本。どちらもかなり危険で、そのバランスを取るのが編集長や発行人の腕の見せどころだと僕は思う。

 本の雑誌社はチビ会社なのでその辺は非常にやりやすい。浜本と椎名がバランスを取ってくれるので、僕や金子や松村は安心して想っていることを好き放題言えるのだ。例えそれがすべて通らなくても、結果として少しでも反映していれば、喜びになるのは間違いないし、多くの意見を出し合った本は、少なからず売上に良い影響が出るもんだ。

 大まかな予定が決まり会議は終わった。ちなみに最後の最後までこのHPで唯一単行本化されずにいる当『炎の営業日誌』の話は出なかった。ある意味、我が社の編集者のまともさがわかって、それはそれで一安心。