WEB本の雑誌

5月24日(金)

 飯田橋深夜プラス1の浅沼さんイチ押し『アトランティスのこころ』S・キング著(新潮社)を読み終える。青春小説であり、成長小説であり、家庭小説であり、バクチ小説でもありその他諸々で、いろんな要素が絡まった小説の王様の感あり。

 これはS・キング嫌いを公言している顧問目黒に早く薦めなくてはと、4階に上がる、が、しかし目黒はとても不満げで「どうしてキングがそういうのを書くと薦めるわけ? 他の作家の時は知らんぷりしているのに」と怒られる。どうも他の人からも同じように薦められていた様子で、これは失敗。

 『アトランティスのこころ』の中にはいろんな小道具が出てくるのだが、その中で大事な役割をするのが少年時代に買ったグローブと不思議な老人テッドにプレゼントされた本『蠅の王』ゴールディング著(新潮文庫)なのだ。僕はこの古典を読んでいなかったので早速本屋に走った。ところがなかなか見つからず悪戦苦闘。

 うーん、こんな読者がどれほどいるのかわからないけれど、せっかく同じ版元新潮社なのだから、同時配本か、もしくはあの「今月の掘り出し物」のコーナーに展開しても良いんじゃないかと営業マンとしてちょっと考える。

 夜、千葉で書店さんと酒を飲む。面倒くさがりの僕がめずらしく自分で仕切った会で、それは是非、是非、お会いさせたい書店員さんがいたからだ。ひとりは柏のS書店Mさんで、もうひとりは銀河通信(http://www2s.biglobe.ne.jp/~yasumama/)でお馴染みの安田ママ。こちらとしてはまさに夢の共演で、お二人の話を聞いていたら、あっけなく時間は過ぎていってしまった。

 そのなかの話題でビックリしたのは、みんな本を読むとき「あとがき」や「解説」を先に読まないということだ。僕は本を読むとき、絶対にそちらから読み始め、ある程度話の方向をチェックしてから本文に入っていくのだが、皆さんそれをしては「さらな気持ち」で読書を楽しめないではないかと非難する。おかしい、みんな同じように読んでいると思ったのに。

 安田ママには「ミステリなんかだとたまにネタバレしているときがあって恐いじゃないですか」と鋭く指摘されるが、実は僕も仮性目黒病を患っているため、例えネタバレされていようともそんな解説ほとんど覚えていない。

 ところがところがその話題の間、じっと黙っていた老舗ミステリ版元T社のMさんがポツリと漏らす。

「実はわたし、最終章から読むんです」
「……。」

 沈黙の後、これには僕もビックリし、詳しく聞く。Mさん曰く「犯人が判った上でどんな書き方をしていくのかが楽しみ」だとか。さすがミステリ版元なのか、とんでもない読者なのか、そこは判断の難しいところ。

 これだけ本の読み方が人によって違うのなら、本誌の特集が出来るんじゃないか?と考える。来週出社したら浜本に話してみようと手帳にメモしつつ、武蔵野線に揺られて帰った。