WEB本の雑誌

7月9日(火)

 営業事務の浜田が、履歴書の束を持って近寄って来た。おお、それは先月号で募集していた助っ人学生の応募ではないか。そうか、ついに僕も人事権を持つまでに出世したということか。ヨッシャ!これでも一応、人とはたくさん会ってきている自信はある。鋭い観察眼で選んでやるぞと勢い込んで手を差し出すと、浜田がきりりと言い放つ。

「参考までに…どうぞ。」

 やけに「参考までに」をくっきりハッキリ発音しやがる。いったい「参考までに」というのはどういうことか。問いただしてみると、ただ見るだけで発言権はまったくないとのこと。ガックリ。

 それにしても時給700円のアルバイトに数十通の応募。世の中、捨てたモンじゃないなあ…なんて考える。いや、ありがたい。

 さて、「参考までに」履歴書に目を通すが、発言権はないそうなので、そのまま黙って営業に出かけた。

 本日は総武線を千葉に向かって営業。注文を取りはぐれている水道橋で途中下車しつつ、亀戸Y書店さん、新小岩のH書店さんを訪問。その後、事務の浜田から「注文の電話をもらっていて本誌の定期部数がジワジワ増えている」と報告を受けていた本八幡のT書房さんに初めて顔を出した。

「お忙しいところすみません、本の雑誌社と申しますが、文芸書の担当の方は、いらっしゃいますでしょうか?」

 ガチガチに緊張しつつ、棚差ししていた書店員さんに声をかけた。するとその書店員さんが僕の顔と名刺を凝視する。そしていきなり
「わぁ!!! 本の雑誌が来たぁ!」と叫ばれる。

 その後は、文芸担当のKさんを紹介され、こちらが恐縮するほど優しい応対を受ける。「人も少ないでしょうし大変でしょうから1年に1遍でも顔を出していただけるとうれしいです」なんて言われて、思わず感動の涙。

 10軒に1軒、いや50軒に1軒でも、こんな良いことがあれば営業マンは幸せだ。そしてこんなことがあるから営業マンを辞められないのだ。

 暑さに負けている場合じゃない。

 …ですね、安田ママさん(http://www2s.biglobe.ne.jp/~yasumama/)