WEB本の雑誌

8月7日(水)

 夜、浦和レッズ対鹿島アントラーズの試合を控え、浮ついた気持ちで仕事をする。もし「本の雑誌」9月号の搬入がなければ休んでいたんじゃないか。うーん、昨日の反省はどこへやら。あきらめて良いのかわからないが、結局僕は下働きが似合う人間なんだ。

 昨日、暑さなんてヘッチャラと書いたが、さすがに35度を越えるなかでの搬入はツライ。浜田、小林と短く口で呼吸しながら、数千冊を社内に運び込む。一気に汗が流れ出るが、『本の雑誌』を汚してはならないと肩を捻って汗を拭う。運んでいる『本の雑誌』も生暖かい。
 
 間に合わなかった定期の追加分を持って取次店O社のNさんを訪問しようと笹塚駅から都営新宿線に乗り込んだ。出来たばかり9月号を取り出し熟読。すると突然頭を叩かれる。

 目の前に、前の会社の上司だったHさんがどっかり座っていた。
「ヨウ! この暑いのに営業か。偉いねえ、上着も持って」
 奇遇というか、腐れ縁というか…。そういえば先月も水道橋の駅で電車を待っていたら、このHさんに突然背後から蹴飛ばされたのだ。

 ふと、姿を見つめると、なぜか派手なアロハとチノパン姿。おかしい。この人が僕に取引先に行くときは絶対に上着を着ることと植え付けた本人なのに。

「あれ? 会社辞めちゃったんですか?」
「お前なぁ、殺すぞ。今日は倉庫に行って、棚卸ししてきたんだよ。クーラーも利いてないクソ暑い倉庫で、何段も重なったパレットの上に乗って、1冊ずつ本を数えてきたんだよ。アホ!」
 それでもちょっと疑問を感じたのでしつこく聞く。
「で、いつもはスーツ着ているんですよね?」
「あっ、もうそういうの辞めたの。いつもこんな感じ。スーツって見てる方も暑苦しいんだよな」
 
 ……。
 その後は無言で市ヶ谷までHさんをにらみ続けた。大人を信じちゃいけないってことだ。

 別れ際Hさんが言った。「今度また飲もうな!」
 誰が飲むか! でもきっと腐れ縁で飲むんだろうな…。

『炎のサッカー日誌 2002.07』

 大好きな平日開催のJリーグ。日常の中に訪れるたった2時間の非日常。スタジアムを埋める社会人は、誰も彼もが仕事にどうにかケリを付け、あわてて電車に飛び乗ってきたのがよくわかる。ネクタイを外し、Yシャツを脱ぎ、レッズのレプリカシャツを着る。まるでその日初めてプールに入るときのような慎重さで、非日常の世界にゆっくり浸かろうとしている。この瞬間が僕はたまらなく好きだ。

 しかし、この日の平日開催はどこか違った。何だかいつもの休日試合と同じ雰囲気だったのだ。おかしい…と首を振ると若い子が多い。なるほど夏休みだったのか。

 試合のことについては書きたくない。どうもレッズは、世界のサッカーの常識をうち破り、ホームで弱くアウェーに強いという異端な個性を発揮しだしたようだ。サポーターの声援がプレッシャーになっているのか、ホーム負け、アウェー勝ち、ホーム負け、アウェー勝ち。こんなんじゃ年間シートを買って、毎試合ホームに駆けつけるのがアホ臭くなってしまう。アウェーのみ追いかければ、きっともっと幸せなサッカー日誌になるんじゃないか…なんて腹立ち紛れに考える。

 それにしても鹿島の柳澤は、なぜレッズ戦になるとシュートを打つんだろうか?