8月27日(火)
昨日、アホな理由で病院に行ってしまったため、中途半端な出社になってしまった。そのせいで、営業に出られず、仕方なく会社に残った。そして問題山積みの「ひとり営業会議」を開いた。半年に一度くらい、自分の仕事を見直さないと、怠惰な性格が災いし、ズルズルとだらけてしまっているので、こういう機会が必要なのだ。自問自答で問題点を指摘し、部下役杉江Aを叱責し、上司役杉江Bに言い訳をし、杉江A杉江Bともに反省する。
誰かに命令されて仕事をするのもツライけど、一人で仕事をしていくのはもっとツライことだ。
営業ルートの見直しをし、訪問が滞りがちになってしまった書店さんを洗い出し、もう少し長期的な予定を立てることを考える。白紙ノートを広げ、ポツポツと気になる点を書き付けた。
仕切り直しの営業第1日目。やる気は、日本代表がワールドカップ初戦を迎えた時と同じくらいにヒートアップしていた。さあ、9月の新刊『注文の多い活字相談 新・日本読書株式会社』の事前注文〆切間近で、追い込みだ。
ところが、ところが、その気合いは脆くも崩される。
地方小出版流通センターのKさんから携帯に連絡が入る。
「一応伝えておこうと思って…」と話し始めたその電話。とある書店のとある担当者が今月いっぱいで退職してしまうという話だった。僕自身、直接仕事をする機会はほとんどなかったものの、その書店員さんが、売場で的確な指示を出し、テキパキと仕事をこなしているのをいつも見ていて、ある種、憧れを抱いていた相手だった。いつか一緒に仕事がしたいと願っていただけに、ショックがデカイ。しばし路上で呆然…。
どうにか気持ちの整理をつけ、重い足取りながら次なるお店へ移動する。そこは近々大規模な改装が入る予定の書店さんだったのだが、なんと担当者と話していたところ、アルバイトは一旦全員解雇し、そのなかから数人再雇用ということになるというではないか。
そう話す文芸担当者自身がアルバイトであり、この後どうなるか今のところわからないんですと続ける。若いながらもとてもやる気のある方だったので、絶対、再雇用になってください!と力強く伝えてしまったが、そんなこと本人にわかるわけがないのだ。もしかして、今日が最後になる可能性があるのかと思ったら、胸の奥がカーっとなって、涙が溢れそうになってしまった。あわてて逃げ去るようにお店を後にした。
どうして、こうなっちゃうんだろう…。確かに不況だし、どのお店も、どの出版社もツライのは事実。しかし、どうして、やる気のある人がどんどん減っていくのか…。
つい立ち止まってしまいそうになる足にムチを入れ、予定していたルートをしっかりなぞるため、次なるお店に向かう。そうしなければならないことに、強い反発を覚えつつ。
気持ちを隠し、どうにか営業を終え、会社に連絡を入れる。するととある書店の店長さんから電話があったことを伝えられた。いつもお世話になっている店長さんだった。少し愚痴でも聞いてもらうつもりで、折り返しの電話を入れる。
「本の雑誌の杉江ですけど」
「ああ、どうも、ちょっと話しておくことがあって。」
「何ですか?」
「えーっとね、突然なんだけど、来週いっぱいでお店を閉めることになっちゃって……」
電話ボックスのなかで、僕はもう立ち続けることが出来ず、座り込んでしまった。