9月4日(水)
祥伝社の営業マンHさんから電話を頂く。Hさんとは、かつて一度とある書店さんの飲み会で同席したことがあった。
「ご無沙汰しております。あの、大変恐縮なんですが、『本の雑誌』の来月号で…」
先週、刷り上がった10月号のゲラを確認していたので、僕は、そこままで話の筋がだいたいわかった。一度しか会ってない人間に何か頼みごとをするのは誰だって心苦しい。だったら先にこちらから話してあげた方が楽だろうと、Hさんの言葉を遮った。
「あれですよね、北上次郎のガイドで、荒山徹さんの新刊『魔岩伝説』(祥伝社)を大きく取り上げていることですよね?」
「そうなんです」とHさんは安心した声になり、ゲラをFAXすることを伝えるととても喜んでくれた。
しかし、その後に続いた展開は僕の予想外のことだった。
「実は、わたくし、営業部に異動になる前、編集にいたことは飲み会の席で話したと思うんですが、荒山先生のデビュー作(高麗秘話)をそのとき編集していたんです。原稿を読んで凄さに驚いて、絶対この人の本を出したいって…。デビューに立ち会ったのは荒山先生だけです。だから今回北上先生が書評してくれた…と聞いてすごいうれしくてうれしくて…。今は営業ですから、書店さんで、しっかり売って頂けるよう頑張ります」
ちなみにこの『魔岩伝説』への北上次郎の書評の書き出しは「すごいぞ、血が脈打つぞ」である。ゲラを読んだとき思わず笑ってしまったが、Hさんの話を聞いたら読まずにいられない。思わず、営業中に買ってしまった。
◆今日売れていた本
渋谷・青山地区 『パーク・ライフ』吉田修一著(文藝春秋)
「この辺じゃデビューしたときから売れていたけど、芥川賞の受賞はもちろん、装丁もキレイだし、作品も読みやすくなった気がしますね。しっかりファンが付いてくれるといいですね」