WEB本の雑誌

11月6日(水)

 師走の気ぜわしさを迎える前なのに、何だか信じられない忙しさ。入社以来最高といっても過言ではない。営業、デスクワーク、交渉事、企画、打ち合わせ、そして溜め込んでしまったこの日記の原稿など、とにかくいっぱいいっぱいの状態だ。

 これは何も3日間の出張の影響でなく、追い込まれなければ気合いの入らない怠惰な性格と余計なことについ口出しして己で仕事を増やしてしまう性格が災いしてのこと。ああ、後悔先に立たず。

 実は出版営業マンの営業できる時間というのは、かなり限られた時間しかない。午前中は書店員さんがその日届いた新刊や雑誌を品出ししていて、それが一段落つくまでとても声をかけられないし、午後は午後で夕方の混雑時間は避けざる得ない。

 結局、一日延べ5時間程度のなかで、どれだけ営業活動ができるかが勝負の分かれ目なのだが、その時間だって書店員さんは暇なわけではない。様子を伺いながら声をかけ、邪魔にならないように営業する。

 ただただ効率だけを求めようとすると単なるご用聞きになってしまい、いわゆる5分間営業で終わってしまう。さすがにそれはやりたくない。書店員さんと面と向かっているときは決して焦らず、そのなかで商売のヒントになるような情報を交換しつつ、あるいは時間がとれれば無駄話の中で人間関係を築いていきたい。

 しかしここ数日の忙しさだと気が焦る。どこかで時間を短縮しないとどうにもならないのはわかってる。

 結局一番無駄な移動の時間を省くため、ほとんど駆け足に近い足取りで今日も都内の街を駆け回る。季節は冬となり、街ゆく人はコートにマフラー姿。しかし、こちらは身体の中から熱くなり、額にはうっすらと汗が流れ落ちていた。