WEB本の雑誌

1月30日(木)

 かつては態度の悪い営業マンには注意を与え、ダメな本にはしっかりダメだしをし、また配本などのトラブルでは出版社に怒鳴り込むような書店員さんがたくさんいた。しかし、今では世の中に叱る人が減ってしまったように、書店員さんで小言を言ってくれる人が減っている

 本日会った書店員さんは、そういう時勢のなかでは珍しく、ある意味、厳しい人である。

「この前ある営業が来てね、いきなり挨拶もなしに、この本とこの本が棚にないから置いてくれって言い出すの。こっちは夕方でものすごく忙しい時間でさ、もちろん営業マンの気持ちもわかるけど、そうじゃないでしょって怒ちゃったよ。なんかわかってくれない人が増えてるよね」

 書店さんから見たら、何も言わずにわかる営業マンが減っているってことになるのだろう。

「でね、次は別の出版社から電話がかかってきて、売れ行きの良い本の増刷が出来上がったからどうか?っていうんだよね。まあ、確かに売れていて必要だから、○部下さいって言ったら、それじゃ少ない、他店のどこでは何部注文を頂いたなんてことを話出して、ぜひレジ前とか入口で大きく展開してくれっていうの。でもさ、その営業、うちのお店の担当らしいんだけど、一度もお店に来たことがないんだよ。どうして棚も客層も見たことないのに、他との比較できるわけ? もういらないって断ったら、向こうが焦ってさ…」

 話を聞きながら、思わず自分の仕事を振り返ってしまった。失点は相変わらず多く、この書店員さんの言葉が強く胸に刺さる。ああ、まだまだ、だとうなだれる。

 そのままその夜、その書店員さんと飲みに行った。これだけ厳しい人ならば、孤高のといっては大げさだろうけれど、孤立してしまうんじゃないかとちょっと心配だった。しかしその飲み会には10名以上の人々が参加していて、それも営業マンばかりでなく、フリーの編集者、ライター、取次店、ネット系書店員さんなど出版業界に関わるほとんどの職種の人が顔を揃えていた。いち書店員さんがひらく飲み会で、これだけの人が集まるのは珍しい。

 互いの信頼関係は強烈に強く、こんな企画があるんだけど…なんて話をすると、そうじゃなくてこういう本をよく聞かれるよなんて議論がされていた。久しぶりに気持ちの良い飲み会に参加し、僕は背筋を伸ばしつつ、いろんな考えに聞き入ってしまった。