2月26日(水)
新刊がいち早く動き出す地域というのがある。それは基本的に都市部になるのだが、その都市部でも差があり、また同一地域でもいち早く動く書店さんがあったりする。営業マンは、それらのアンテナ的書店さんの売れ行きを確認しつつ、全体の売れ行きを予測し、そして重版のタイミングをはかっている。
本日、その売れ行きが素早くでる地域のひとつ、渋谷を営業しながら『未読王購書日記』の増刷を考える。実は、そもそも予想以上に初回注文が集まってしまって、あまり在庫を持っていなかったのだ。営業成績マイナス1。
増刷にかかる時間は、約2週間から3週間。その間、できることなら在庫を品切れにしたくない。しかし、そのためには市場在庫(書店さんにまだ本が並んでいる状態)があるうちに手配しないと間に合わない。今書店さんに並んでいる分が、本当に売り切れるのか?なんてことは、正直言って誰にもわからない。各店のデータを出して、本の性質を考え、最終的にはほとんど勘を頼りに増刷するかしないのかの判断せざる得ない。
しかししかし、そうやって増刷した分がまるまる返品になって、結局、初回の売上まで食ってしまったなんて話は、出版社に山のように転がっている。僕も何度かやっている。営業成績マイナス5。
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昨年の暮れ、営業で廻っていると『海辺のカフカ』村上春樹著(新潮社)がないという書店さんを何軒も見た。書店員さんに話を伺うと「版元品切れなんだよ!」という怒り心頭だが、しかし、僕の廻っている範囲だけでも、下手をしたら隣のお店で、かなり在庫を抱え込んでいたりして、この辺りの増刷は、非常に難しいだろうな…なんて他人事なのに思わず頭を痛めた。
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本を出すこと自体もギャンブルだが、増刷はもっとギャンブルに近い。
とりあえず初版分の売上で満足するのか、それとも、もう一勝負してさらに利益を生み出す可能性に賭けるのか…。
営業マンには似合わない険しい顔になって書店店頭に並んでいる『未読王購書日記』を見つめる。初速と最終的な売れ行きは比例するというわけではない。何度も失敗してそれは理解している。
いったいこの『未読王購書日記』はどこまで売れる本なのか? 時間はあまりない。ああ、ドラえもん…。