WEB本の雑誌

4月22日(火)

 営業はやっぱり楽しい。

 新宿のK書店さんで、何年もつき合っている書店員さんとちょっとしたきっかけから、なぜ書店に勤めるようになったのかという話を聞いた。そういう話、面と向かって真正面に伺うのも恥ずかしく、今までほとんどの書店さんで聞いたことがない。

「高校時代、通学に2時間くらいかかって、その間、暇だから図書館の本を片っ端から借りていたの。文学全集とか外文の文庫本とか。それで、本に関係する仕事に就こうと思ったのかなあ」

 何だかこういう話を伺うとその人の人生が一瞬見える気がして、とてもうれしい。

 またその後南口のK書店さんを訪問し、前から気になっていた外文オススメ棚について話を伺う。担当のHさんはまだ若い書店員さんだけど、セレクトもしっかりしていて、いつも感心していたのだ。

「外文って何だか読まれる機会が少ないですよね。で、自分自身が好きなんでポップをつけたオススメコーナーとか柴田元幸さんのフェアをやってみたんです。そしたらしっかり売れていって…。何だかうれしいですよね」

 その笑顔の向こうにしっかり本をセレクトして売ろうという強い意志が垣間見える。Hさんは続けてこんな話もしていた。

「新刊新刊って、つい追いかけちゃうんですけど、既刊のなかでまだまだいっぱい面白い本があるし、そういうものを大事にしていきたいです」

 こういう目的意識を持った20代の書店員さんが最近増えているような気がする。もしかしたら出版業界の未来はそうそう暗いもんじゃないという期待が持てる。

 その後、飯田橋、神保町、秋原場、田町とバタバタ営業に向かったのだが、各店でいろいろと話ができ、珍しく絶好調の営業だった。


 そういえば、先日助っ人学生のひとりが僕にこんなことを言ってきた。

「今まで出版社、それも編集者になろうって考えていたんですけど、杉江さんの日記を読んでいると営業も面白そうだなって。」

 うれしい言葉ではあるし、本日の日記の冒頭にも「営業は楽しい」と書いている。

 しかししかし、出版営業という仕事が誰にとっても楽しい仕事なのかは正直わからない。
 ただただ、僕はこの仕事が好きなだけだ。