WEB本の雑誌

7月24日(木)

 ここのところの涼しさは営業マンにとって幸せなことなのだが、その分、雨が多く、こちらは売上不振を招くので大きな不幸。

 しかし営業マンにとって最もツライことは、そんな天候ではなく、営業先でまったく相手にされないことだろう。担当者さんに顔も視線も合わせてもらえず、名乗った時点で「用ありません」と断られることだってあるし、「いないって言って…」と壁の向こうから聞こえてくることもある。そこへ入れ違いに名の通った出版社が来て、その担当者さんが満面の笑みで出てくるなんてこともある。

 かつて勤めていた専門出版社で、ときたま一般書を出していたのだが、そのときは毎日がこんな感じだった。注文をもらうなんて夢の話で、10件廻って2、3件、目を見て口を聞いてもらえれば良い方だった。

 今だったら、その対応が自分自身にではなく、会社への評価なのだと気持ちを切り換えられるけれど、あの頃はまだ経験値も低く若かったので、自分が否定されたような気がして深く落ち込んだ。駅のベンチで何度もため息を付き、本屋さんが嫌いな場所になりつつあった。そのとき思ったのは、とにかく出版社は売れる本を1冊でも作って「○○の××社」ですと名乗れるようにならないと相手にしてもらえないってことだ。


 『本の雑誌』というのは創刊時の成り立ちからして独特のスタンスがあって、それはわりと書店さんに応援されやすいスタンスなのだろう。だから今は営業に行っても、丁寧に対応されることが多い。話は聞いてもらえるし、注文も頂ける。ときには予想外のフェア依頼まで来て、大きく展開してもらえたりもする。

 昔を思えば夢のような話だ。

 けれどここで勘違いしちゃマズイのは、それは会社の看板があるからこそってことで、自分の力なんてそもそも何もないんだし、だからこの夢が覚めないようしっかり売れる本を作っていかなきゃと強く感じている。

 もう、あのツライ日々に戻りたくないから。