WEB本の雑誌

10月1日(水)

 ほぼ1ヶ月間更新が出来ずにいた。
 それは何も『本屋大賞』の手伝いを引き受け、信じられないくらい忙しくなったからという理由ではなく、この冗談のような連載が3年を過ぎ、4年目に突入し、少し考え直さなければいけないと思ったからだ。

 初めは本当に冗談だった。冗談というよりは、当ホームページの隙間を埋める連載でしかなかった。僕自身はいまだにそう考えているのだが、この3年の間に想像以上にアクセス数が増えていて、しかもその読者は、僕の会ったことがない人ばかりになっていた。

 それが一般読者であればまだ気楽なのだが、書いている内容が内容なだけに出版業界人に妙に読まれるようになってしまった。例えば、書店店頭や飲み会で出会った他社営業マンと名刺交換すると「ああ、炎の営業の…」と言われることがあるし、あるいは何かの会で出会った編集者にも同様の言葉をかけられることが増えた。

 それはある意味書き手として喜ばしいことなのかもしれないが、僕には相変わらず書き手としての意識が生まれずにいる。

 僕は営業マンだ。

 例え評価されることがあるなら、それは自社の売上が上がるってことしかないだろう。
 こんなところで虚名が売れたとしてもうれしくない。その辺のジレンマについて、この1ヶ月深く深く考えていた。また考えさせられるような出来事もあった。

 3年間は冗談や勢いで続けられる。
 しかし4年目を迎えるにあたっては、ある程度の覚悟か開き直りがないと続けられそうにない。

 社命はもちろん「書き続けろ!」だった。
 しかし今回はその社命だけではとても書き続ける意識は持てなかった。たぶんサラリーマンとしては失格だろう。

 それは例え隙間の連載だとしても、書くなら本気で、気持ちを入れて書かなければならないと考えているからだ。今までの3年間だって気持ちだけは入れて書いてきた自信がある。こんなクソみたいな文章であっても僕は本気で書いている。だからこそ4年目を迎えるにあたってひとつ考え直したかった。

 辞めるのは簡単だと思った。
 制作部門に連絡をいれ、HPから削除してしまえば済むことなのだから。
 その逆に続けていくことは非常に困難なことだ。長く続けば続くほどつらくなるだろう。

 ならば困難な方を選ぶのが、何も実力のない僕にとって必要なことなのではないか。
 虚名に負けないくらいの営業マンになる。

 それが4年目を迎えるあたっての覚悟である。