12月11日(木)
3年前に卒業していったY君とS君と飲みに行く。
Y君は卒業後大手出版社に就職していき、その後も書店店頭や取次店の窓口で会ったりして、たびたび酒を飲んでいた。
しかしS君の方は出版社の就職試験がうまく行かず、結局建設業界へ就職していったので、まったく顔を会わせる機会もなく、ほとんど音信不通のような状態だったた。生真面目な彼がどのように働いているのか気になっていたところ、先月末、ふらりと会社に顔を出した。とある出版社へ転職したという。
「やっぱり出版社で働きたくて、バイトでも何でもいいからと応募したんです。半年程前に今の会社に採用していただき、今は契約社員として編集アシスタントとしています。」
そして生まれて初めて自分が携わった本を名刺代わりにプレゼントしてくれた。そこには彼の名前がしっかり刻まれていた。そのことを指摘すると、身体を捩りながら、幸せそうな顔をした。
酒が進み、S君が初めて携わったその本の話題になった。
それは多くの書店でベストセラーになっており、僕やY君も良かったねと素直に祝福の言葉をかけた。するとS君は急にビールジョッキを起き、真面目な顔をになって、こんな言葉をもらした。
「昨日、その本の講演会があって、会場販売に出かけたんです。自分が関わった本が目の前で売れて行く姿というのは本当に感慨深く感動的で、睡眠時間も給料も大幅に減少したけど、本当にこの世界に来ることができて良かったなぁと、しみじみ実感してます。」
S君、何年経っても、何冊作っても、その気持ち忘れちゃダメだよ。オレ達は、そんな編集者の気持ちを誇りに、働いているんだからさ。