WEB本の雑誌

1月6日(木)

 新年早々連日の超残業モードに突入してしまい新年会どころではなくなってしまった。というのも本屋大賞の一次投票〆切が明日に迫っており、その投票の呼びかけやら、今年から大々的に受け付けるようにしたFAX投票の登録やら、ノミネート作品発表後の用意やらで、とにかくやらやらだらけで大変なのだ。

 しかし本屋大賞は元来本業ではないため、昼は当然、通常の書店営業をしなければならなくて、そっちはそっちで事前注文〆切の佳境を迎えていてヒートアップ。しかも、その営業している新刊本が『笹塚日記 うたた寝篇』というタイトルを見ただけで怒りを感じ、ゲラを読んで殺意を覚える、寝てばかりの隠居オヤジの本で、いやいや巡り合わせが悪いってもんだ。

 実は去年この本屋大賞を「大変、大変」と書きすぎて、皆さんにご心配をおかけしたり、ひとりだけ大変な感じを訴えるのも、なんて考えて今年は書かずにいたのだが、いやはややっぱり大変なのだ。

 それも去年の初めての大変さとは2回目の大変さでは質が違い、そして1回目があんなに成功してしまったものだからのプレッシャーもキツイ。おまけにこのように組織をまったく頼らない自発的な投票システムというのは、ほんとにフタを開けてみなければどんなことが起きるか検討もつかず、胃に悪い。

 くそーこれだけ大変なことをして、儲かるのは該当出版社で、何だかこうなるとやたら自社本に賞を上げる某賞の気持ちがよく分かって来るではないか。ううう。

 そんなわけで超残業モードで帰宅すると生後20日の息子がふぇーふぇー泣いていてウンコをプシューっとしているし、そのおしめを替えつつ乳をさらけ出した妻は充血した目で僕を睨み、そして赤ちゃん返りした娘はふて寝しているではないか。スマン、本当にスマン。妻よ、お前が大変なのはよーくわかっているし、今が回復期で大切なことも承知している。

 でもな、でもな、オレには実は娘と息子以外に、もうひとり子供がいて、それがこの「本屋大賞」なんだ。こいつはこいつで、すごく手間のかかる子供で、そしてこの子供の成長を待っている人がいっぱいいるし、たぶんオレが今まで生きてきて、しかもこれから生きていくなかでも、こんなにまともなはきっと出来ないだろう。だからこいつがもう少し成長するまで我慢してくれ。

 それにな、妻よ。すごいんだぞ、書店さんからのFAX投票が。事務の浜田がそのFAXを見て「杉江さんの大好きな、魂バリバリじゃないっすか」っていうくらい、ほんとに全国の書店員さんから気合いの入った投票が送られてくるんだよ。当然全部手書きでさ。伝わってくるんだよなぁ。

 それがな、オレがこれだけ残業して、朝も早出しているのに、その間に届くんだぞ。書店員さんがいつ書いているか、お前にもわかるだろう。この本気に、こちらも本気でぶつからなきゃ、オレがオレで在り続けらないだろう。だからさ、負けないように気合いをいれて投票集計しているんだ。

 それでな、あのな、その投票を読んでいるとな、本を買いたくなるんだよ。みんなの推薦がすごくてさ。でさ、あのな、スマン、一昨日もらった小遣い、もうなくなっちったんだ。前借りさせてくれーーーーー。