2月10日(木)
営業を終え、ぶらぶら書店さんの棚を眺めていたところ、思わず飛び上がってしまう新刊に出くわした。
『アヤックスの戦争―第二次世界大戦と欧州サッカー 』
サイモン・クーパー著、柳下毅一郎訳 (白水社)
誰がなんといおうと、サッカーバカ及びサッカー本バカにとって、白水社は日本一のサッカー本出版社であり、(何せ『サッカーの敵』『狂熱のシーズン』『フーリガン戦記』を出版しているのだ!)、柳下毅一郎さんはサイモン・クーパーを訳すために『殺人マニア宣言』や『ケルベロス第五の首』などの仕事をされていると考えている。
当然早速購入し、娘と息子を早く寝かせ、読み通した3日間。
いやー、素晴らしい。
今回はどちらかというと、サッカーそのものにスポットを当てた本ではないが、逆にそれがサッカーの力、あるいはクラブチームの影響力の大きさを浮かび上がらせることに成功している。
日本と世界のサッカーを比較する際、100年の時間の差というのが絶対に出てくるのだが、それがサッカーそのものの時間をさすのではなく、サッカーを取り巻く社会、すなわち歴史そのものをさすのであるということをこの本を読んで思い知る。
歴史のなかでサッカーがどのように扱われ、そしてその逆にクラブチームが、歴史をどう扱ってきたのか。殺される寸前のユダヤ人がクラブチームから届く会報に喜んで手紙を書いたりするあたり、いやはやサッカーってやっぱり凄い。そしてもちろんどこにでも飛び込み、足でネタを探すサイモン・クーパーの取材力、そして考察力と、文章力に今回もたじたじにされたのであった。
いやはや今年のサッカー本大賞は、2月の時点で決定かぁ!!!!