2月15日(火)
会社についてしばらくすると浜田が「パンパカパーン、発表します」と椅子の上に立ちあがる。ついに負け犬脱出か?なんて期待してしまったが、『千利休』増刷分の品切れを発表だった。
たった一日で、重版分が消えてなくなるなんて、狐につままれた気分だ。次の重版は約一週間後の23日に出来上がる予定なのだが、1週間でもロスはでるわけで、ちまちま営業は嫌みを言われる前に外に向かう。
新宿K書店、御茶ノ水M書店と直納し、その後とある書店さんを訪問。
そのお店では、すでに本屋大賞のノミネート本をフェア展開していただいているのだが、品切重版未定本がいくつかあるそうで、10点全部が揃わないと哀しい訴え。
もしかしてそれって大賞を辞退していることになるのではないか?(なにせ選考する書店員さんが買えないのだから) しかも、こんな状況をわかってもらえずに大賞作品しか売れない賞なんて批判を浴びるのも納得いかない。ああ、だったらノミネートの連絡をした時点で「当社はこの本を売る気はありません」と潔く断ってくれればいいのに!!!
そういえば昨夜は遅くまで、ベテラン書店員さん3人(全員小さなお店)と飲んでいたのだが、その方々の憤りはもっと深くそして長いものであった。
「新聞を見て初めて新刊を知る。読者と一緒」
「それで知ったとしても、注文してもほとんど入ってこない」
「うちのお店が個性的な品揃えっていわれるけどそれはただただ入りやすい本を並べているだけ」
「まっ、こんなこと20年前からずっと言いつづけて、何も変わらないからね」
愚痴といってしまえばそれまでだが、もうひとつこんな話を聞くと、僕は思わず酒場で泣けてくるのである。
「オレね、4,5年分の販売スリップ、全部とってあるんだ。少し時間があくと、そのスリップをみて、あっこんな本あったな、今でも売れる、売れないって考えるんだよね。でもさ、支払いがあるじゃない。返品出来るっていわれても請求はたつわけだからいったんは払わなきゃならないわけだから。そうすると入れたいけど入れられない本いっぱいあるんだよね。ああ、この本があったら棚が良くなるけど、支払いを考えたらその2,3千円の本すら注文ができないんだよね、哀しいよ」
書店、書店員と騒いでいるけど、だったらその人たちがもっとしっかり仕事ができる環境に変えていかなければならないんじゃないか…。