WEB本の雑誌

1月23日(月)

 もう3回目でだいぶ慣れてきたけれど、本屋大賞が動き出すと、精神のバランスがあやうくなる。プレッシャーというか、なんというか。今年もどうにか頑張って乗り切るしかない。しっかしどうしてこんなこと始めちゃったんだろう…なんて。

 ノミネート作品を発表するといろんな人からいろんなことを言われる。

 特に多いのは「Aが入っているのが納得いかない。でもBが入っていて良かったけど」なんてことなんだが、実はその数分前「どうしてBなんて作品は入ってるの? Aは当然だけど」なんて他の人が言っていたりする。

本というものはそういうものなんだろう。

★   ★   ★

 新宿を営業。

 紀伊國屋書店新宿南店さんを訪問すると、入り口脇に面陳された『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』リリー・フランキー(扶桑社)に手書きPOPが立てられていた。

 何気なく読み出したら、いやはや、すごい。この気持ちのこもったこのPOPを読むためだけに、このお店に行っても良いかも、なんて思ってしまうほどの感動だ。ここまで来たらPOP自体が作品になっているといっても良いのではなかろうか。作品として100万部売れることも嬉しかろうが、こういうPOPが立てられることも嬉しいだろう。リリーさんは幸せだ。

 その後は、詩や短歌の担当Sさんとお話。
 文芸書の売り場のなかでは減らされる一方のジャンルで、Sさん自身も担当替えのときは、ちょっと地味かもと想っていたそうだ。しかし、これがやってみたら面白いのなんのと話される。

「もうほんと可愛いんですよ、1冊1冊の本が。手に取られるのを待っているっていう感じで、新刊に追われる文芸書と違いますよね。それで私自身も詩を読み出したら良い作品いっぱいあって、それをPOPに書いたら、ちょっとづつ売れてる感じで。1冊売れるのがとてもうれしいです」

 そうか…。このお店が人気があるのは、『東京タワー』についていたPOPもそうだけど、店員さんたちの素直な本への愛情がこうやって売り場に現れ、それがお客さんに伝わっているからなんだろう。

 それにこうやって売ってもらえる本は、なんて幸せなんだろう。部数はもちろん大切だけど、藤原よ、俺たちも書店員さんが売って幸せな気持ちになれる本をつくろうぜ!

 すっかり落ちこんでいた気分も晴れ渡り、何だか嬉しい気分でお店を後にする。残念だったのはSさんオススメの詩集を買い忘れたことだが、それは次の訪問で紹介してもらおうっと。詩集…似合わないかな。