WEB本の雑誌

1月30日(月)

 2月の新刊『姿三四郎と富田常雄』の営業が佳境。
 委託のパターン配本を一切やっていない本の雑誌社では、書店さんの注文=部数なわけで、とにかく訪問して注文を集めない限り、商売にならない。

『姿三四郎と富田常雄』

 よく考えてみたらすごい本だ。なにせ一番有名だった『姿三四郎』もすでに新刊書店では手に入らず(オンデマンド出版のみ)、その著者・富田常雄さんの著作だってほとんど棚にないのである。そういう作家の評伝を営業するのだから、これは大変だ。しかも今のところ書店員さんで『姿三四郎』を読んだことがあるという人に出会っておらず、唯一ただひとり映画を見たという人を見つけただけ。

 こういう本を営業しろと言われたら、まあ普通、ふてくされて荒川、江戸川、多摩川土手愛好会に入ってしまいそうなものの、今回はゲラを読んでその面白さに感動しているため、まったく苦にならない。しかも珍しく営業トークというか本の紹介を真剣にしている(せざるえず)そうなると自分の存在価値がハッキリする。ハッキリするから怖いけど、それくらい追い込まれないとこのダラダラ人間はきちんと仕事をしないのだ。

 そうやってひとり盛り上がって営業に勤しみ、会社に戻ると、編集の藤原がぼそぼそ呟いている。

「ああ、『姿三四郎と富田常雄』が売れなかったら僕のせいだな。原稿も良いし、写真も良いし、資料も良いし、装丁も良いし」

 まあ、売れる売れないを気にするのは非常に良いことだけど、編集者があまりそこを気にしすぎるのもどうかと思うし、良いか悪いか判断するのは編集者じゃなく読者だし、売れた売れないの数字の判断もそれぞれだし、そんな焦るな藤原よ。

「本作るのって難しいっすね。」

 うーん、FC東京サポじゃなかったら、焼肉でも奢ってやったんだけどなぁ。