3月7日(火)
9時出社。
朝の埼京線で、読書相談室で教えていただいた『波に座る男たち』梶尾真治著(講談社)読了。その帯で恩田陸さんが書かれているとおりまさに「由緒正しきニッポンの、心優しいエンターティメント!」だ。僕、漁師に憧れているのだが、大場会長の下、任侠丸に乗りたい。
面白そうな本の情報を拾ったので同好の士、椎名編集長にメモ。『南の探検』蜂須賀正著(平凡社ライブラリー) 。
午前中は昨日終わらなかった本屋大賞の事務作業。案内を作って封入しの繰り返し。それを終えて会社を飛び出し、吉祥寺へ。R書店さんを訪問するがK店長さんは遅番で午後出社とのこと、ならばとL書店さんに向かうとY店長さんがちょうど新刊台を耕しているではないか。
しばらく仕入れ部勤務されていたYさんがこうやってまた新刊台をかなり几帳面に直している姿に感動を覚え、しばし声をかけずその立ち居振る舞いを観察する。声をかけるとちょうど昼食に出るタイミングだったとのことで、そのままご一緒す。
「売れているのは『陰日向に咲く』劇団ひとり著(幻冬舎)かなぁ。あとは角川文庫が表紙と帯をつけて出した『十九歳のジェイコブ』 中上健次著とか『いちご白書』ジェームズ・クネン著が調子良いよね。連載、なんか売り場に戻ったら書きにくいんだよね~。もうちょっと待っていてね」
おお『陰日向に咲く』劇団ひとり著(幻冬舎)は確か出てすぐのときに北千住のK書店Mさんに「奥田英朗みたいですごい面白いんですよ、芸能人本だと思ってなめちゃダメです」といわれていたのだ。次に読もう。
しかし本屋大賞疲れの僕に「ガンバレ!」と声をかけてくれるYさんの優しさが身に染みる。
昼食後、R書店さんへ向かうとこちらもK店長さんがちょうど新刊台を耕している最中。本屋大賞の話などしつつ、あまりに忙しそうなので足早に営業を終え、僕も3時に市ヶ谷に行かなきゃならず慌てて駅へ向かう。
図書普及さんに今年も本屋大賞の賞品である図書カードの提供をお願いし、快く了承をいただく。うれしいかぎり。そういえば、今年からユーキャンさんが、本屋大賞の趣旨に賛同していただき協賛していただくことになったのだ。こちらも当然足を向けて寝られないほど感謝しています。
その後は、編集部赤青人間・藤原と待ち合わせし、某所に年末発売の『おすすめ文庫王国2006年度版』の取材。想像していた以上に面白い話が聞け、これからしっかり取材していこうと決意。
いくつかの書店さんを営業し、そのまま、ほぼ同年代同キャリアの親しい出版営業仲間で酒。いろいろと嘆きつつ、次に就きたい仕事という話題になったとき、3人の想いがピッタリ揃ったのには笑ってしまった。
「一次産業、食堂、ルート配送のトラック運転手」
ようは虚業ではなく実体のあるもので仕事をしたいってことだ。しかも僕ら営業マンは虚業の上に虚の数字(納品→返品など)を追いかけているから、その想いも強くなるというもんだ。
それでも気楽に話せる仲間と酒を飲み、かなり気持ちが楽になる。そして僕の中の甘えにも気づかされ、大いに役立つ酒であった。
帰宅の電車では『サッカーという名の神様』近藤篤著(NHK生活人新書)を読む。さすが近藤篤、写真だけでなく、文章も鋭い!