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3月10日(金)

 9時30分出社。いつもより30分遅いのは、浦和レッズ自由席の前日抽選に参加していたため。金曜の前抽だというのに600人を越える列。今年の目標は、四冠及びホーム平均観客数5万人突破だぁ!
 通勤本は、『サッカーという名の神様』近藤篤(NHK生活人新書)。帯の「サッカーなしで生きていけない人々。」の文字はもちろん、たとえばこんなところで興奮してしまう。

 それはアルゼンチンの危険地帯にサッカーの取材に行ったときのこと。素人の中年男性チームの試合を観戦し、そのハーフタイム時に集合写真を撮らせてもらっていたら、あるイカツイ選手に「もういいだろ! 身体が冷えちゃうんだよ」と叫ばれるのだ。草サッカーとはいえ、本気なのだ。

 それを見て案内役が「気にするな」と近藤さんを慰めるのだが、近藤さんはそのときの気分をこう記すのだ。

「----僕は気にしていなかった。プロサッカーだろうが草サッカーだろうが、金をかけていようがいまいが、真剣にサッカーをやらない人間は昔から好きじゃない。」

 10時に山梨のR書店Nさんが来社。本当はこちらがお店に伺わなければならないのに、いやはやありがとうございます。行ったことのないお店だけど、話を伺っているだけで良いお店なのがひしひし伝わってくる。

 11時30分会社を飛び出し、新宿へ。地方小出版流通センターのKさんと食事を取りつつ、新刊搬入の打ち合わせ。ついでに本屋大賞の大衆化と消費について。今年ほど本屋大賞について深く考えている年はないのでは。

 紀伊國屋書店新宿本店さんを皮切りに、ジュンク堂さん、福家書店さん、山下書店さん、丸善さん、三省堂さん、書泉さん、啓文堂さん、ブックファーストさん、紀伊國屋書店新宿南店さん、有隣堂さんと営業。会えたり会えなかったり。こればっかりは仕方なし。

 本当は、昨日の疲れがあったので今日は若干サボリモードで、のんびり営業しようなんて考えていたのに、どこでどうスイッチが入ったのか、逆上。もうどうにも止まらず、日頃なかなかお伺いできないでいた書店さんを軒並み廻る。

 本日の話題はもちろん『ダ・ヴィンチ・コード』(角川文庫)の文庫発売! ルミネ2ではまるでハリーポッター発売日のように街頭販売をしていた。いくつかの書店さんで聞いたところ売れ行きは順調のようで、それはまあ上・中・下巻の3冊とはいえ、約1700円の安さは魅力的だ。『模倣犯』ももう少し考えれば良かったのに…なんて。

 この文庫、取引条件が責任販売制を導入しているのだが、小さな書店さんでは「いいよいいよ、それで本が入るなら」とおおむね好評の様子。今後こういう取引形態が増えるだろうな。

 それとは別に目を引いたのは福家書店さんで担当者オススメ作家として平安寿子がドーンと展開されいていたのと、ブックファースト新宿ルミネ1さんで「惑う女」というまさに事務の浜田向きなフェア展開されいたことか。このフェアのうまいところは、「仕事」「出産」「結婚」という枠の他に「自意識」という枠を足したことで、そのおかげでフェア展開されている本に厚みが出ていた。

 ところがところがそんな展開で驚いていてはならなかったのだ。なんと同じくブックファーストの新宿ルミネ2さんの方では「プライドは勘定に入れません 小説にみるヴィクトリア朝文化」なんてとんでもないフェアをやられていたのだ。しかもこれ、ミニフェアではなく、棚2本くらい使った大展開。映画に合わせたとはいえ、この企画力、そして構成力、凄い!

 帰社後、何気なくアマゾンを開いたらソフトバンクさんが新書を創刊の文字。また新書かよ?と思ったが、なんとなんと僕がもっとも尊敬する高田純次氏の本がラインナップに入っているではないか! 『適当論』。うー、楽しみ!

 さあ、これから本屋大賞実行委員会の会議。2月からはほぼ毎週集まっているような。もう一踏ん張り頑張ろう!