WEB本の雑誌

3月24日(金)

「ねえ、バイトいない?」

 本日廻った書店さんで、立て続けにこんなことを聞かれた。
 実は本の雑誌社もなかなか学生アルバイトが集まらず、頭を悩ませているのだ。そうか人手不足はどこも一緒なのか。ちなみにこんなことを聞かれた書店さんは、2軒とも都内山手線沿線のお店である。

「もうさ、全然来なくて。参っちゃう。やっぱり他に較べて時給が低いからかなあ。でも払えないよね、正味下げてもらわないと。このままじゃ人が足りなくてお店開かなくなるよ。」

 そういえば僕の家の近所に今度ジャスコが出来るのだが、そのなかに入るお店の求人がここ数ヶ月新聞に挟まっていたのだが、ほとんどが時給950円以上で、1000円を越えているのもざらだし、なかには1200円なんていうのもあった。

 そしてその廻りの環境に合わせたのか、この中に出店するA書店さんもなんとなんと書店アルバイトでは破格の920円なんて時給が書かれていて、そのことを別の書店さんに話したら絶句していた。(そういうなかでヴィレッジヴァンガードさんだけが680円の設定で、こちらはこちらで大丈夫なのか?と心配してしまった)

 まあ学生にしても主婦にしても、あるいはフリーターにしたって未来の保証がないなら、当然時給が高いところに行くだろう。本が好きだから、なんて想いだけで、他より1時間200円も低い時給で働く人はほんのひと握り。そういえば先月他の書店の店長さんはこんな風にぼやいていたっけ。「もうずっとバイト募集しているよ。一日3,4時間ならっていうのはいっぱい来るんだ。なんで? って聞くと本は好きだけど、この時給じゃ食べていけないから、別のところとバイトの掛け持ちするっていうんだよね」

 ここ数年、書店の現場はリストラを重ね、社員減らしが進んだ。そこでお店を支えてきたのが、アルバイトであり、契約社員なのだが、今度はその人たちが集まらないという。

 景気が良くなれば、本も売れる。
 確かにそうなのかもしれないが、結局このバブル崩壊からの10年の間に、ろくに構造改革をして来なかった出版業界には、多くのツケが残っているのだ。