6月9日(金)
「実録 タイトル会議」
そろそろ夕飯の出前に何を取るか揉め出す夜7時。
メシの問題よりも7月の新刊『読書相談室』のタイトルを決めないと拙いわけで、今週末までに決めろと伝えておいた藤原に声をかける。
杉江「藤原~」
藤原「えーっと僕は親子丼大盛りにするか鴨南蛮うどんにするか悩んでいるんですけど」
杉江「違うよ、『読書相談室』のタイトルだよ!」
藤原「あっ! それはもう24時間、寝ているときも考えてますよ」
杉江「嘘つくなよ。今だってメシのこと考えてただろ」
ちょっと待ってくださいよと言いつつ、彼が考えた候補をプリントアウト。
藤原「じゃじゃーん! どうですか!!」
すると浜本が奪い取り、チェック。
浜本「ははぁ、だからお前、昨日一昨日四字熟語の辞典とか読んでいたのか。しかしこっちで来たか…」
藤原「こっちって何ですか?」
浜本「いや読書相談室と関連ある感じの言葉だよ」
------------------------藤原案-------------------------
活字の世界へようこそ編
千客万来招きネコ編
笑う門には福来たる編
活字中毒者養成編
活字教時代黎明編
カモン!ティーンズ編
濫読水先案内編
本は読んでも読まれるな編
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浜本「杉江どう?」
杉江「うーん…。このなかでは「活字中毒者養成編」がマシかなと思いますけど、その前に『読書相談室』が付くから、漢字だらけで、表紙の字面が良くないかなぁ。」
藤原「そうですねぇ…。もうめんどくさいからPART.5でどうですか?」
松村「めんどくさいとかいうな!」
しばし藤原の案を前にブツブツ言い合う4名。
浜本「やっぱりさぁ。ここは関係ない路線で行きたいなぁ。前のが特盛すこぶる本編でしょ? そういう感じの奴がいいと思うんだよ」
杉江「本日は晴天編とかジジ抜きババ抜き編とかってこと?」
浜本「そうだけど、ジジ抜きババ抜き編って何だよ?」
杉江「いやうちの娘が凝っているんですよ、今」
浜本「えっ? お前のうちの娘もうトランプできるの?」
しばし親バカ談義が続く。
藤原「特盛すこぶる本編かぁ。じゃあ、大盛!」
松村「減ってるよ」
一同「……」
松村「寄せ鍋ってどうですか?」
浜本「いいねぇ。なんかそういういろんな質問と回答が載っているって感じが伝わるのがいいよ。でも寄せ鍋は7月発売の本にはつらいよなぁ。幕の内とか」
杉江「幕の内?」
藤原・松村「いいですねー、幕の内」
杉江「まじ? 本の本だよ」
浜本「だから関係ないところに飛ばすの」
杉江「???」
浜本「ところで幕の内ってどういう意味?」
杉江「え? 歌舞伎の幕と幕の間に食べる弁当じゃなかったでしたっけ?」
一同ググル。
浜本「あっほんとだ! 杉江ってサッカーだけじゃなくて歌舞伎も知っていたのか?」
杉江「知りませんよ。常識ですよ」
松村「とりあえず幕の内でいきましょうか?」
浜本「そうだな、あとは『すこぶる』みたいな勢いのある言葉を付けたいな」
藤原「エビ入り」
一同「???」
藤原「幕の内弁当にはやっぱりエビが必要でしょう?」
一同「……」
杉江「松村さん、関西弁で多いって何て言うの?」
松村「『ぎょーさん』かな?」
杉江「うーん、合わないねぇ。どえりゃー幕の内編もダメ出し」
藤原「大盛り幕の内編!」
一同「……」
松村「相撲用語とかどうですか?」
浜本「何?」
松村「うっちゃり幕の内編とか?」
浜本「なんか質問を交わしているみたいでイヤだなぁ」
杉江「どすこい?」
一同「それだぁ」
杉江「はぁ?」
浜本「『どすこい幕の内編』いいじゃん! 勢いもあって、いろんな質問に答えている感も伝わるし。」
松村「京極ファンが買ってくれたりして」
杉江「関係ねーよ」
藤原「神が降りましたね」
杉江「降りてねぇよ」
浜本「じゃあ、メシ頼もうぜ。俺は健康診断が終わったから『カレー焼肉定食』な!」
というわけで、7月発売の『読書相談室』は、『よりぬき読書相談室 どすこい幕の内編』になった。1時間以上かかって、こんなんで良いのか?