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6月14日(水)

 ふと気づいたら見慣れぬ景色。

 いやはや、ついにやってしまった。帰宅電車で爆睡。武蔵浦和駅で乗り換えるはずが、終点の大宮まで乗り過ごしてしまった。良かった川越じゃなくて…。

 いやそんなことよりもう一度新宿まで行ってしまったら大変だ。今度は座らずに乗り換え駅を目指す。

 家に着いて、着替えを済ませ、うがいをしているとその音で僕の帰宅に気づいた娘が2階から駆け下りてくる。

「おかえりぃ!」
「今日幼稚園で何した?」

 5月病以来つい心配で聞いてしまうが、5歳にもなるとそう素直に答えやしない。

「教えなーい」

 しかしこっちが聞くのをやめると「今日ね、すずちゃんとね…」なんて話し出す。

 その娘をおんぶで2階に連れていくと階段に付けたゲートの向こうに1歳半になった息子が立っている。

「アッウー!! アッウー!!」

 生まれる前は入院やらであんなに大変だったのに、生まれてからはほとんど病気知らずで順調に育っている。こいつの顔を見る度、生きていることに感謝する。ありがとうございます。

 しかしそんな僕の気持ちも知らず、二人の子供は床にぺたりと座った僕の膝の上に乗る。娘曰く「ひだりがわたし、みぎがおとうと」の指定席になっているようだが、息子はまだそんなことはわからずお姉ちゃんを追い出そうとする。

 10代の頃、変わりばえのしない毎日がイヤでイヤで、昨日よりちょっと違う今日にしようと必死にあがいていたっけ。ところが今は、この瞬間が一生続けばいいのに、なんて前夜録画したワールドカップのビデオを再生しつつ考えている。

「パパ! またサッカー?」