8月16日(水)
いつだったかとある著者と会食に向かう目黒がぼやいていた。
「俺、著者に会うの苦手なんだよ」
それはその場のことでなく、その後の書評活動のことを考えての発言だった。実際に著者に会ってしまったら書きたいことも書けなくなるかもしれない。だから目黒は極力著者に会わないようにしているようだった。そのことを知ってこのおじさんを信用しようと思った。もちろん著者とツーカーでもしっかり厳しいことを書ける大森望さんも信用しているが。
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実は僕も著者に会うのが苦手だ。
ただし僕は書評家じゃないから目黒とは違う理由だ。僕の苦手な理由は、著者に会うと思い切り打ちのめされてしまうからだ。
例えば吉野朔実さん。トークショーの打ち合わせお会いしたのだが、もう全身から表現者のオーラが出まくり。物事の本質を突く鋭い視線にタジタジになったし、こういう人が何かを書くというのは当然のことだと思った。
それは町田康さんや金城一紀さんも一緒で、お二人とも作家(あるいはパンク歌手)以外の職業がまったく思い浮かばなかった。言葉、物語をとても大事にしているのがわかった。また主婦でもある、あさのあつこさんも早口で話すその言葉のなかで真実を探そうとする強い意志があって、背筋にビンビンきた。
というわけでそんな人たちと会うと自分の小ささが悲しくなってしまうのである。そもそも張り合うのがおかしいのはわかっているだが、同じ人間なのにこうも違うのか…と落ちこんでしまうのである。
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本日の夜は酒飲み書店員(通称:千葉会)の集まりだったのだが、何と『ワセダ三畳青春記』(集英社文庫)で第一回酒飲み書店員大賞を受賞された高野秀行さんが、遊びに来てくれたではないか。
それまで本に掲載されている写真などを拝見し椎名のような大きい人だと勝手に想像していたのだが、これがほっそりとした物静かな方でビックリ! この人が、ムベンベを探し、アマゾンを遡り、ビルマの奥地でアヘン栽培を手伝い、西南シルクロードを旅したのか!!!
体力的なこともそうだが、それらの過酷な旅を乗り越える精神力がこの目の前にいる高野さんのなかにあるのだ。しかもその過酷さを笑いで描く能力も兼ね備え、いやはや、猛烈に負けた。負けるのは分かっていたけど、負けた。
これは著者本人お会いしたから書くわけではないし、そもそも高野さんの著作が売れたとしても本の雑誌社から本が出ているわけではないからまったく儲けなんてない。ただただ面白い本を人に紹介したいだけで書くのだが、もしこれを読まれている方で高野秀行さんの著作を未読であったら、それはとても幸せなことだ。
これから面白い本に出会えるのだ。北上次郎みたいに書店さんに走って行ってください! 急げ!