WEB本の雑誌

9月22日(金)

 昨日帰りの埼京線で読み出した『一瞬の風になれ 1』佐藤多佳子(講談社)。帰宅し、娘と息子を寝かしつけるのにしばし中断した以外、もはや本を置くことができず、久しぶりの一気読み。ストーリ自体はまだたいして動き出していないのに、とにかく人物造形が見事で、もうこの物語から目を離すことが出来ない。

 僕、面白本を読んでいるとゲロを吐きそうになる。何て言ったらいいんだろう。その物語の世界から現実世界にうまく戻って来ることができず、気持ち悪くなってしまうのだ。汚い表現でなんだけど、『一瞬の風になれ 1』はゲロゲロの傑作。
 
 そして何と運の良いことか、本日営業中に『一瞬の風になれ 2』がちょうど新刊台に並べられ出したではないか。思わず購入しようと思ったが、ぐっと我慢。この本を一番最初に教えてくれた新宿K書店Hさんのところで買わなければ…。くう、このしばしの時間すら苦しいぞ。

 そしてやっと営業がひと段落付いたので駆け足でK書店さんに向かう。ほんとはこっそり買おうと思ったのだが、Hさんの同僚Iさんに見つかってしまい、思わず苦笑い。そしてHさんと『一瞬の風になれ』談義。そうこの『一瞬の風になれ』、読むと誰かと語り合いたくなるんです。

 そのHさん、手書きの大きな看板を作られたそうで、これから店頭で熱烈プッシュされるとか。いい光景だなぁ。1冊の本を売るために一人の書店員さんが創意工夫する。そしてその本をお客さんが手に取り、新たな感動が生まれる。直接感謝されることはないかもしれないけれど、本と出会う場をしっかり作られている書店員さんはなんて素敵なんだろう。

 その2巻を読み出したのが、やはり帰りの埼京線のなか。昨日同様、娘と息子を寝かしつけ一気読み。うぉー、これはやっぱり傑作だぁ! 今年のベスト級(北上次郎)どころでなく、これは今後何度も読み直すであろうオールタイム級のベストなのではなかろう。

 僕自身ちょっと斜に構えて読み出したのだが、たんなる青春モノなんて思ったら大間違い。『バッテリー』同様、ぶっとい魂がこの物語には入っている。そう『バッテリー』読者は必読で、そうでない人は『バッテリー』と『一瞬の風になれ』をすぐ読むべし。でもでもほんとゲロどころでなく、胸が苦しくなるほど愛おしい小説が、今、生まれようとしているのだ。

 ああ、3巻の発売が待ち遠しい。