10月11日(水)
出社すると氷結松村改め若干溶解松村から声をかけられる。
「杉江さん、今日の2時から高野秀行さんと来年号からの連載打ち合わせなんですよ。ぜひ同席してください」
おうよ。高野さんに会えるなら喜んで同席するぜ!とその2時を待ったが、その2時になる直前、机の上のガサゴソいじっていた松村が奇声をあげた。「ギョエー」
どうした、松村?
「えっとここにあるメモには、高野さん12日って書いてあるんですよ。12日は明日で、今日は11日? うん? でも卓上カレンダーには11日に高野さんって書いてあって、いったいどうなってるの?」
って両方自分で書いたメモだろう。どっちかが正解で、どっちかが間違い。どうなってるのと聞きたいのはこっちの方だ。
こういうときの松村は潔いというか、無駄がない。なんの躊躇もなく高野さんに電話をかける。
「お世話になってます、本の雑誌の松村です。ご確認なんですが、打ち合わせの日程は……。そうですよね、明日ですよね、いえいえ。楽しみしておりますので、よろしくお願いします。では。」
ガチャ。電話を置いた瞬間「コラー」という怒鳴り声と「スミマセ~ン」の叫び声が笹塚10号通り商店街をこだました。