11月23日(木)炎のサッカー日誌 2006.18
試合開始前。緊張感がビシバシ伝わってくるゴール裏のその中心で、コールリーダーのKさんが両脇の仲間の手を取り、曇り空の天に向かって突き上げた。その行為を見ていたサポーターは、一瞬の戸惑いの後、中心からゆっくりと手に手を取り、同じ行動をした。僕も左手をニックと右手を父親と握り会い、天に向ける。父親の隣では母親がやはり同じように手を掲げ、その母親の隣は通路に立つ知らない兄ちゃんだ。そして「威風堂々」を歌う。ゴール裏はひとつにまとまった。
「結束」
一見いつもひとつのように思われている浦和レッズのゴール裏だが、そんなことはなく、サポーターグループはひとつではなく無数のグループ、あるいは個人によって形成されている。だから感じ方や応援の仕方は千差万別、コールリーダーが発したコールに反応しないときだってある。決していつもまとまっているわけではないのである。
しかし今日はそんな想いとか考えなんて関係なく、願いはただひとつ。浦和レッズの勝利、そして優勝だ。今まで以上の結束をもち、ゴール裏は、いやスタジアムがひとりの選手となって、そこへ進む。
だからこそワシントンがPKを2度外しても、スタジアムに失望は湧かなかった。それどころか、14年間で手に入れた「信じる力」がスタジアムを支配していた。勝つ! その気持ちが声に、拍手に、揺れるスタジアムに乗りうつる。
そんななか活躍したのは、今やミスターレッズといってもいいほど成長し、まさに浦和レッズの歴史を自らで表現しているかのような山田暢久。ワシントンの1点目のクロスは素晴らしい精度だったし、自らあげた2点目のドリブルと唯一空いたコースを狙うシュートは素晴らしかった。あの山田が…、あの浦和レッズが…。
試合終了後、やけにはしゃいだスタジアムアナウンサーが、各地の試合結果を伝える。
ガンバ大阪△
川崎フロンターレ●
ついにそのときがそこまでやってきた。
ALL COME TOGETHER!
共に闘い、共に頂点へ