WEB本の雑誌

11月29日(水)

 昨夜、神保町で酒を飲む機会があったのだが、その待ちあわせまでの間に三省堂書店さんをうろつく。そしてそこで何気なく手にとった本の値段を見てビックリする。その本とは『アジア、幻境の旅 日野啓三と楼蘭美女』鈴村和成著(集英社) で、これ四六版のハードカバーで243ページのいたって普通の体裁の本なのであるが、なんとなんと本体3,300円もするのだ。ほげっ!

 いや僕、驚いているだけで別に本は高くてもいいと思っている。それは安くできないから出版されないよりも、高くても出版され本当に必要としている人に喜ばれればいいと考えているからだ。しかしそこはやはり同じ仕事をしている身。この判型、この厚さで、この値段とはどんな原価計算がされているのか非常に気になるところだ。

 なんてことを考えつつ、別の棚をうろついていたら『地底の太陽』金石範(集英社)を発見。面白そうだな…なんて思いつつ値段をみたら、また驚いてしまった。本体3000円もするではないか。ちなみにこちらも四六版のハードカバーでページ数は320ページ。出版社は同じ集英社。若干厚いけど、それにしても文芸の単行本で、国書刊行会とかでなく、大手出版社で3000円を越える時代が来るとは。うーむ。文庫の値段はジワジワ上がっている気がしていたけれど、その影で単行本もこうやって値段があがっていたのか…。果たしてこれがスタンダードになるのだろうか。

 しかし、こんなことを発行人の浜本に報告したら大変なことになるだろう。なにせすぐ本の値段をあげたがる人なので、うちの本もこれから全部3000円以上だぁ! なんて叫びだすこと間違いなし。マル秘事項その36だな。

 ちなみに本の雑誌社の本は、僕と浜本が原価計算し(藤原は入社以来原価計算をしたことがないし、自分の作った本が何部売れているのかも知らないと思われる。大丈夫か?)僕がもうちょっと下げよう、浜本がもっと高くと言い合い、そのときそのとき落ちつくところに落ちつく。ただ本を出した後に「もっと安ければ」「もっと高ければ」と互いの目を見ないで呟き合うことはしょっちゅうである。まあ営業は売れてナンボだし、経営者は最低限の売上確保に走るのだから仕方ないだろう。というか各出版社の原価計算の方法を知りたいところだ。

 そういえば高いといえばマイケル・ケンナの写真集で、以前から欲しい欲しいと思っているのだがまだ買えずにいる。いつか何か良いことと、お金があったときに買おうと考えているけど、そんな日、来るかな…。