WEB本の雑誌

12月11日(月)

『本の雑誌』1月特大号搬入。

 先週中に『このミス』や『週刊文春』や『本格ミステリベスト10』など各種ベストテン本が出ていたので、営業としては早く出してくれ、という気持ちでいっぱいだった。しかし以前にも書いたけれど木・金曜搬入原則禁止の会社で、基本10日搬入の雑誌を6日に搬入するわけにもいかず、仕方ないといえば仕方ない。というかライバルにならないか、うちの独断と偏見に満ちたベストテンでは。

 そういえば今年は『SIGHT』別冊の「日本一怖い!  ブック・オブ・ザ・イヤー」が出ず、SIGHT本誌のなかで、大森望さんと北上次郎や高橋源一郎氏と斉藤美奈子氏の対談が掲載されていた。読者としては残念だが、営業としてライバルが一誌減ってうれしいところか。

 今号には定期購読者向けに助っ人が作ったコピー誌「本のちらし」を同封するため一手間かかり、そこへ人手不足も手伝って大わらわ。直納を終えて僕もトンボ帰りで会社に戻り、鉄平やアマノッチとともにイレイレ、ツメツメ作業をお手伝い。

 しかしこういう仕事は楽しいな。そこに読者がいるというのが実感できることが、出版社にいると意外と少ないのだ。しかも我ら営業は、注文を取っても常に返品を考えていなけりゃいけないという世界でも不思議な営業スタイルだから、車の営業や保険の営業みたいに注文数がそのまま成績にはならない。下手したらプラスマイナスゼロ、それは手間と手数料を考えたら当然マイナスで、うーん、だから直納とか、直の販売とか本当に楽しい。

 そこに読者がいる、というか世の中にはボーナスというものがあるんだなと実感できるのがこの時期の大物買いだ。本の雑誌社には大して高額な商品があるわけではないけれど『都筑道夫少年小説コレクション 全6巻』の注文がポツポツ入り出す。うーん、うれしい、けど哀しい。ボーナスって何?

 通勤読書は引き続き『血涙 新楊家将』北方謙三著(PHP研究所)。下巻に入ったところなのだが、宋と遼と楊家の対立構造のなかに別の関係性を持たせ、単なる対決ものでなくさせるところが、素晴らしい。うう、読み終わりたくないような、そんな気分。