『おたから町中華』おざわゆき

●今回の書評担当者●丸善お茶の水店 勝間準

  • おざわゆき&渡邊博光のおたから町中華
  • 『おざわゆき&渡邊博光のおたから町中華』
    おざわゆき 渡邊博光
    ぶんか社
    1,100円(税込)
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皆さん、ラーメンはお好きですか?
僕は大好きです。
では、どんなラーメンが好きなのでしょうか?
醤油? 味噌? 豚骨? それとも家系?
僕は実家の中華料理屋で父が作るラーメンが一番好きです。
あくまで僕の考えですが、最近のラーメンは美味しいものが多いけれど味が濃い。
それに比べて僕の父が作るのは昔ながらのラーメン。
某人気食漫画の一文を借りると、「毎日、食べても飽きない。そんな旨さのラーメンもある。
これこそが僕の父が作るラーメンであり、僕が一番好きなラーメンなのです。

そんな毎日食べても飽きないラーメンは町中華のお店で味わえることが多い。
そこで今回はこちらの本を紹介します。
おざわゆきさん・渡邊博光さんのコミックエッセイ『おたから町中華』。
都内を中心に美味しい町中華を味わえるお店をおざわゆきさんと渡邊博光さん夫婦が漫画で食レポート。
読んでいると口の中が中華になるというか、おそらく読んだ日の晩飯か翌日の昼飯は中華に決定だと思う。それほどの町中華愛の詰まった本であり、出てくる料理たちがとてつもなく美味しそうに描かれている一冊。

そんな美味しいコミックエッセイ内に登場する店でおすすめなのは、僕がよく食べに行く店でもある「川ばた」です。
なんとこちらのお店は甘味中華屋。
甘味中華って聞きなれないフレーズですよね?
一体どういうことかというと、そのまんまの意味で甘味と中華が一緒に味わえる素晴らしいお店だということです。
お店のメニューにはラーメンとあんみつのセット(コーヒー付)があり、
しょっぱいものの後に甘味をすぐに食べることができる。
ああ、それはなんて幸せなことなのでしょう。
ちなみに僕はこのお店で食べる時はラーメン半チャンセットからのあんみつ単品でフィニッシュです。
他にもおすすめの料理があるのですが、それはこの本を読んでからのお楽しみということで。

今回のラストは実家の事を思いつつ真面目に。
町中華自体はここ数年かなり注目を浴びているが、お店自体は減り続けているのではないでしょうか?
僕の実家もそうなのですが、後継ぎがいない問題です。
現在、営業をしていても数年後には、、、というお店も多いはず。
僕自身、父の作ったラーメンがいつか食べられなくなるのは悲しいけれど、その日は必ず訪れる。
なので、この本に出てくるお店に限らず気になる町中華は早めに、思い出の町中華があるなら足しげく通うことをおすすめします。

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丸善お茶の水店 勝間準
丸善お茶の水店 勝間準
1981年大阪市内の中華料理屋の息子として生まれる。新卒時に入社したスーパーを辞めた後なんとなく働き始めた書店で本を読む楽しさ、売る楽しさを知る。コミックエッセイ、食マンガ、食小説、食エッセイ大好き書店員。生まれて初めて買った本は『ミスター味っ子』。この機会に美味しい本を紹介したいです。それではいただきます!!