『大阪』岸政彦、柴崎 友香

●今回の書評担当者●ふたば書房京都駅八条口店 宮田修

  • 大阪 (河出文庫 き 16-1)
  • 『大阪 (河出文庫 き 16-1)』
    岸 政彦,柴崎 友香
    河出書房新社
    924円(税込)
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関西の書店員、販売会社社員の有志で結成したOsaka Book One Projectは、今回「特別賞」に岸政彦さん、柴崎友香さん共著の「大阪」を選定しました。

10月3日から来年1月末まで大賞、特別賞の両作品を大阪府、関西近郊の書店約800店で店頭展開する取り組みです。
この取り組みは、収益の一部を活用して大阪府の児童養護福祉施設に図書を寄贈することで知られ、これまで約29万冊(920万円相当)を贈っています。

特別賞のタイトルももろ、大阪なんですがこの本どんな本なんだろうと思った方は、西加奈子さんの帯で、こういう本だと興味をもたれることでしょう。

大阪は、自分が今住んでいるところでもあるので、単行本時からきになってました。

そこに住んでいた作家、今は違う場所に住んでいる。 
そこに越してきた作家、出身は違う所。
その2人が交互に描いていく自分がみてきた大阪という街。

作家の方は、住んでる街、住んでいた街を身近に感じたり、また俯瞰してみたり、それぞれの人生とリンクさせながら語られるお話はめちゃくちゃ面白い。

こんな見方をしているんだと感心しつつも、自分はあまり考えなかったなと、その時代で起こったこと、音楽、映画等はあのときどうしてたかなと思うし、高校までいた故郷の高知に関しては、美化して考えてるんだろうなと思ったり。

私も、大阪にきたものなので同じ立場で大変面白く読ませてもらいました。

知っている地名が出てくると嬉しくなるんですよね。

彼が描く大阪彼女が描く大阪そうそうと頷きながら、そうだったんだと発見があったりまた、違った視点で住んでる街が見えてくるんだなと。

この本は、面白い企画だと思っていてその町のゆかりの人が出た人、越してきた人が男女で交互に描いていく各都道府県。
行ったことない街、行ったことないけど住んだことがない街、美化されない等身大の日本の街が見えてくるかもしれない。

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ふたば書房京都駅八条口店 宮田修
ふたば書房京都駅八条口店 宮田修
高知県生まれ、大阪在住。他書店から、2020年よりふたば書房入社。好物は、歴史時代小説、ミステリですが、ジャンルは、問いません。おすすめありましたらお願いいたします。好きな作家さんは池波正太郎先生。