●担当者●丸善お茶の水店 沢田史郎

2021年4月1日更新

『リバース&リバース』奥田亜希子

「こういうのがあなたらしい」と心得顔で他人が押し付けるものを受け入れるのではなく、"自分らしさ"は自分で自由に選んでいいんだよ。そんな静かなエールが奥田亜希子の作品には充ちている──といったような趣旨... 記事を見る »
2021年3月4日更新

『白野真澄はしょうがない』奥田亜希子

 助産師の白野真澄は、31歳になる今日まで恋愛経験はゼロ。人知れず焦りを感じている彼女の心情をよそに、妹の佳織は《いい子》《優しい》《羨ましい》と何かと真澄を持ち上げる。しかし真澄から見れば、子どもの... 記事を見る »
2021年2月4日更新

『八月の銀の雪』伊与原新

 まず初めに、伊与原新についてはこれから紹介する2冊しか読んでいないので、「この作家の真価は云々」みたいな知ったかぶりは自戒しようと思う。だがそれでも、一つだけ言わせて貰いたい。  版元のHPをはじめ... 記事を見る »
2021年1月7日更新

『スマホ脳』アンデシュ・ハンセン

 さて、『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳 新潮新書)だ。  既に何となく気付いてはいる、という人は多いだろう。「スマホを使うようになって、集中力が無くなったな」と。「SNSで、余計なス... 記事を見る »
2020年12月3日更新

『ネガティブ・ケイパビリティ』帚木蓬生

 答えが簡単に分かってしまう事の張り合いの無さを最初に意識したのは、もう二十数年前、カーナビを使い始めた頃かも知れない。  迷子になって、右だ左だいやUターンだと地図を見ながら喧々囂々したり、畑仕事を... 記事を見る »
2020年11月5日更新

『かみがかり』山本甲士

《善い人間の在り方如何について論ずるのはもういい加減で切上げて善い人間になったらどうだ》  古代ローマの五賢帝の一人、マルクス・アウレーリウスは『自省録』でこんな言葉を遺している(神谷美恵子/訳 岩波... 記事を見る »
2020年10月1日更新

『ふるさと銀河線』高田郁

 神は細部に宿る、という言葉をいつ、誰が、どんな文脈で発したのか、諸説あって正確なことは分からない。だが誰が言ったにせよ、この場合の〈神〉は字義通りに神様を意味するだけでは、恐らくあるまい。仕事は細部... 記事を見る »
2020年9月3日更新

『金木犀とメテオラ』安壇美緒

 北海道南斗市に新設された中高一貫の女子校、私立築山学園。その一期生として入学し、6年間をともに過ごすことになる35人の少女たち。中でも抜きん出て成績優秀な二人の生徒が、まるでイモムシが蛹になり、やが... 記事を見る »
2020年8月6日更新

『空洞電車』朝倉宏景

 SINUS(サイナス)というバンドが在る。ボーカルで作詞作曲も一手に担うミツトが中学一年の時に、兄と二人で始めたギター。そこにベース、ドラム、キーボード、そしてマネージャーが《RPGゲームのパーティ... 記事を見る »
2020年7月2日更新

『暗号のポラリス』中山智幸

 ディスレクシア──。難読症、失読症、識字障害といった日本語訳が示す通り、学習障害の一種で文字が読めない。......と言われても、健常者にはピンとこない。ちょっと成長が遅いだけだという根拠無き楽観と... 記事を見る »
2020年6月4日更新

『青春のジョーカー』奥田亜希子

 世界で最初に新型コロナウィルスの標的になった、中国・武漢市。かの地で、ロックダウンの一部始終を体験した作家・方方さんが綴った『方方日記』のことは、媒体を問わず広く報道されたから、ご存知の方は多かろう... 記事を見る »
2020年5月7日更新

『カモメに飛ぶことを教えた猫』ルイス・セプルベダ

 差別はいけない。なんてことは、今更言われなくても知っている。  ならばお前は知っているだけでなく、ちゃんと理解しているのか? 差別をしないってのはどういうことか、ちゃんと説明出来るのか? それは、行... 記事を見る »
丸善お茶の水店 沢田史郎
丸善お茶の水店 沢田史郎
小説が好きなだけのイチ書店員。SF、ファンタジー、ミステリーは不得手なので、それ以外のジャンルが大半になりそう。 新刊は、なんだかんだで紹介して貰える機会は多いので、出来る限り既刊を採り上げるつもりです。本は手に取った時が新刊、読みたい時が面白い時。「これ読みたい」という本を、1冊でも見つけて貰えたら嬉しいです。