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2015年10月 まんまる月夜の煙突号 No.388

 死ね!死ね!!角川商法と本誌が咬みついてから38年。角川書店のネバギバー社長からいろいろあって角川春樹事務所の社長へと転身した出版界のレジェンド角川春樹はなぜレジェンドなのか! というわけで本の雑誌10月号の特集は「角川春樹伝説!」。坪内祐三による角川春樹ロングインタビュー@角川春樹事務所社長室から、作家に実娘、角川映画研究者に編集者、弟子が語る知られざる伝説、そして角川書店・角川春樹事務所退職者が今だから言える社長伝説の数々を大放言(?)。あらゆる角度から死ぬまで編集屋・角川春樹の伝説に迫る、疾風怒濤の28ページなのだあ!

 新刊めったくたガイドは、酒井貞道がダイナミックに展開する『ネメシス』が熱い!と吠えれば、都甲幸治は失われた人々が一瞬だけ蘇る物語を堪能。大森望が『伊藤計画トリビュート』で10年代SFにどっぷり浸れば、円堂都司昭は『王とサーカス』を米澤穂信の最高傑作!と絶賛。沢田史郎が塩田武士『拳に聞け!』で再び立ち上がって歩き始めれば、堀部篤史は時間と物語を纏うこれからのファッションをいざ、チェック。そして北上次郎は芝村裕吏のヘンな小説『猟犬の國』を一気読みだ。さあ、いったいどこかヘンなのか。今後が楽しみだ、とおじさんが期待するヘンな作家に注目してくれぃ!

 今月の図書カード三万円使い放題!に登場するのは堂場瞬一。間もなく刊行点数が100冊に達するエンタメ界の雄が三省堂書店・神保町本店で我を失った顛末は74ページからだ。そして今月の読み物作家ガイドは奥泉光の巻。小説とは何かを考えたい人、小説の可能性を知りたい人、そして何より面白い小説を読みたいと念じている人に鈴木力がすすめる奥泉光の10冊は128ページからで要チェック。さらに帰ってきた矢口誠が真保裕一の『繋がれた明日』の読みどころを明かせば、入江敦彦は江戸の「京ブーム」にイケズなツッコミ。坪内祐三が荒川洋治の天プラになりたいと熱望すれば、立ち食いそばを一日二度食べるツワモノが現われてラー友編集部は戦々恐々。宮古島の札幌味噌ラーメンvs米子の牛骨ラーメン対決で水木ロードは大騒ぎ。本の雑誌10月号で読書の秋が、いざ到来だあ!

目次

本棚が見たい!

10月の書店 中目黒ブックセンター/10月の書斎 名久井直子
新旧いろいろ面白本/秘島を網羅した貴重な一冊 椎名 誠 
図書カード三万円使い放題!/我を失ってお買い物 堂場瞬一

特集:角川春樹伝説!

角川春樹インタビュー/死ぬまで現役の編集屋なのだ! 聞き手・坪内祐三 
作家の証明との出会 森村誠一 
父・角川春樹のこと 角川慶子 
薬師丸ひろ子を手放した男 中川右介 
角川春樹を語る! 森永博志/山田裕樹/石井昻/石丸元章 
角川書店・角川春樹事務所退職者座談会 
おじさん三人組、角川春樹事務所に行く! 

安易な感動を許さない感動作 矢口 誠 
サバイバルな書物/シベリア抑留者の冷静なサバイバル 服部文祥
ユーカリの木の蔭で/蚊 北村 薫
ひるね優先読書録 宮田珠己 

新刊めったくたガイド

ダイナミックに展開する『ネメシス』が熱い! 酒井貞道
物語ることで蘇る失われた人々 都甲幸治
10年代SFを体現する『伊藤計劃トリビュート』 大森 望
『王とサーカス』は米澤穂信の最高傑作だ! 円堂都司昭
塩田武士『拳に聞け!』で再び立ち上がるのだ 沢田史郎
時間と物語を纏うこれからのファッション 堀部篤史
芝村裕吏のヘンな小説『猟犬の國』を一気読み! 北上次郎

井上真偽の“多重解決の新星”作を見よ 宇田川拓也
サボりの日 小野一光
野呂邦暢のブルース 徳永圭子
SF史上に輝く傑作がめきめき復活! 山岸真
獣の数字は人の数字 秋葉直哉
トットのピクチャー・ブック 浅生ハルミン
本当の川の長さ 今尾恵介
文庫の帯が崩れていく 日下潤一

着せ替えの手帖/伊達男のバリッとスーツ 内澤旬子 
活字に溺れる者/雨の神保町、下駄履きで早稲田 荻原魚雷
読む京都/江戸の“京ブーム” 入江敦彦
坪内祐三の読書日記/私も荒川洋治さんの天プラになりたい 坪内祐三
連続的SF話/マンハントの記憶 鏡 明
南の話/火元はパリ 青山 南
そばですよ/一日に二度食べるツワモノに聞く(上) 平松洋子
鬼花──鬼刑事・花篤好美/鬼花vs鬼ヤス 中場利一
レムの『技術学大全』 円城 塔
意識の謎に挑むトノーニの統合情報理論 風野春樹
七〇年代アメリカのユーモア本 若島 正
「とっくに売れてる漫画だけど、俺にも一言云わせてほしい」の巻 青木大輔
ホリイのゆるーく調査/小説をめちゃ速読してみる 堀井憲一郎
今月書いた人 
今月本の雑誌に遊びに来た人 
掲載図書索引 

続・棒パン日常/名前 穂村 弘
三角窓口/遊びに来た貨物時刻表に目がクギづけだあ! 他
本の森で迷子になって 久田かおり

歩く旅/マカオで愚痴る 沢野ひとし
奥泉光の10冊/パターン化された「感動」から離れて 鈴木 力
後記 

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