第280回:城山真一さん

作家の読書道 第280回:城山真一さん

2015年に『ブラック・ヴィーナス 投資の女神』で第14回このミステリーがすごい!』大賞を受賞、その後ドラマ化もされた『看守の流儀』などで、ミステリーと人間ドラマを融合させてきた城山真一さん。小学生の頃はあまり小説を読まなかったという城山さんが、その後どんな作品と出会い、小説家を志すことになったのか。小説以外の好きなものも含めて、たっぷりおうかがいしました。

その2「中学時代にはまった作家」 (2/9)

  • DRAGON BALL 1 (ジャンプコミックス)
  • 『DRAGON BALL 1 (ジャンプコミックス)』
    鳥山 明
    集英社
    484円(税込)
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  • こちら葛飾区亀有公園前派出所 1 (ジャンプコミックス)
  • 『こちら葛飾区亀有公園前派出所 1 (ジャンプコミックス)』
    秋本 治
    集英社
    484円(税込)
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  • TO-Y(1) (少年サンデーコミックス)
  • 『TO-Y(1) (少年サンデーコミックス)』
    上條淳士
    小学館
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  • ラフ(1) (少年サンデーコミックス)
  • 『ラフ(1) (少年サンデーコミックス)』
    あだち充
    小学館
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  • 殺人はそよ風のように (角川文庫)
  • 『殺人はそよ風のように (角川文庫)』
    赤川 次郎
    KADOKAWA
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――中学時代の読書はいかがですか。

城山:小説と漫画ですね。先に漫画の話をすると、当時は「少年ジャンプ」が流行っていて、『ドラゴンボール』や『こち亀(こちら葛飾区亀有公園前派出所)』あたりはコミックを揃えていました。
ただ、僕の性格で、みんなが「ジャンプ」「ジャンプ」と言っていると、じゃあ俺は「サンデー」を読もう、みたいなところがあって。それで読んだ『TO-Y』とか、あだち充さんの『ラフ』なんかはよく憶えています。

――では、小説は。

城山:中学2年の夏休みに入る手前で、当時読んでいた学習雑誌に、赤川次郎さんの『赤いこうもり傘』がお薦め作品として載っていたんです。"伯爵"といったキャラクターやストーリー展開がとにかくおしゃれで軽妙で、小説ってこんなに面白いのかとはじめて感じたのが赤川次郎さんでした。それをきっかけに、赤川さんの『殺人はそよ風のように』と『ひまつぶしの殺人』を立て続けに読んで、その後、コバルト文庫の吸血鬼シリーズを読みました。
そこから別の作家のコバルト文庫も読むようになり、氷室冴子さんの『なんて素敵にジャパネスク』と『ざ・ちぇんじ!』は表紙が少女漫画っぽかったけれど読んでみたらひきこまれて。あと、氷室冴子さんといえば、なんといっても『恋する女たち』ですね。映画化されて、表紙が主演の斉藤由貴さんの全帯だったんです。書店で平積みされていて、なんか斬新だなと印象に残っていました。あれから40年近くたって『看守の流儀』がドラマ化された時に、全帯巻き直しで竹内涼真さんの敬礼している姿が表紙になって、その時に『恋する女たち』の表紙を思い出して、ちょっと嬉しかったです。
斉藤さんつながりでお話ししますと、当時、ドラマの「スケバン刑事」も大好きで。実は2代目スケバン刑事の南野陽子さんの大ファンでした(笑)。「ザ・ベストテン」で南野さんの「話しかけたかった」が1位を取って、階段から降りてきた南野さんが泣いているのを見て、自分ももらい泣きしそうになりました。
あとテレビでいうと、古谷一行さんの金田一耕助シリーズのドラマが楽しみでしたし、時々放送される石坂浩二さんの金田一耕助シリーズの映画も好きで、家族みんなで見ていました。

――国語の授業は好きでしたか。

城山:中学校の国語の教科書に中島敦の『山月記』が載っていたんです。先生がこの物語の続きを書いてみましょうと言って、僕の書いたものがいちばん面白かったと言われ、みんなの前で朗読したことを今回思い出しました。虎になってしまった人が、大雨が降りしきる中で自らの頭を竹に打ち続けながら泣いているうちに意識を失って、また別の生き物に魂が乗り移った、というような話を書いた記憶があります。

――文章を書くことはお好きだったのですか。

城山:ストーリーを考えるのか好きだったんだと思います。当時は作家ではなく、漫画家になれたらいいなくらいは思っていました。

――絵は得意だったのですか。

城山:わりと得意なほうだったと思っています。いたずら描きも得意で、これは高校の時なんですけれど、授業中に教科書の隅っこに先生の似顔絵を描いて隣の生徒に回したりして。隣の子が赤い顔をして笑いをこらえているのを見るのが楽しくて。今でも友達には、本当によくおかしな絵を描いていたよなと言われます。

――他に好きだったものはありますか、音楽とか。

城山:僕はBOØWYと氷室京介さんが好きでした。僕の10代後半は赤川次郎と長州力と氷室京介で成り立っていたと言ってもいいくらいです。BOØWYの「JUST A HERO」という4枚目のアルバムが本当に好きで、今も部屋にレコードジャケットを飾ってあります。氷室さんはご先祖が石川県にご縁があるとかで、ニューアルバムが出るとたいてい石川県でライブがあったので、必ず観に行っていました。

――ご自身でなにか音楽をやろうとは思わなかったのですか。

城山:歌は苦手で、ギターは大学まではエレキギターを1本持っていてちょっとやってみたこともありますが、1、2曲弾けたくらいで、もうやっていないです。僕はあまり集団でなにかをやるということに向かないようで、バンドも大学生の頃にやろうと思ったことはあったんですが、すぐに挫折しました。

  • ひまつぶしの殺人 (角川文庫)
  • 『ひまつぶしの殺人 (角川文庫)』
    赤川 次郎
    KADOKAWA
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  • なんて素敵にジャパネスク (集英社コバルト文庫)
  • 『なんて素敵にジャパネスク (集英社コバルト文庫)』
    氷室冴子
    集英社
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  • ざ・ちぇんじ! 1 (白泉社文庫)
  • 『ざ・ちぇんじ! 1 (白泉社文庫)』
    山内直実,氷室冴子
    白泉社
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  • 恋する女たち (集英社コバルト文庫)
  • 『恋する女たち (集英社コバルト文庫)』
    氷室冴子,峯村良子
    集英社
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  • 看守の流儀 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
  • 『看守の流儀 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)』
    城山 真一
    宝島社
    779円(税込)
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  • 山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫 緑 145-1)
  • 『山月記・李陵 他九篇 (岩波文庫 緑 145-1)』
    中島 敦
    岩波書店
    946円(税込)
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