●担当者●丸善書店津田沼店 沢田史郎

2013年4月4日更新

『晴天の迷いクジラ』窪美澄

 藪から棒になんですが、人生、努力だけではどうにもならないことってのは、まま在る訳で。認めてしまうのは寂しいんだけど。  仮に、頑張れば必ず結果に結びつくというのなら、良い結果が出なかった人たち──毎... 記事を見る »
2013年3月7日更新

『教室に雨は降らない』伊岡瞬

「本当は僕のせいじゃないのに......」 「みんなだってやってるのに......」  小学生の頃、先生に対してこんな不満を抱いた記憶は数えきれない。しかもこういう感情に限って不思議といつまでも風化せ... 記事を見る »
2013年2月7日更新

『かかし長屋』半村良

 例えば18世紀後半、寛政の頃の江戸の裏長屋にちょいと思いを馳せて頂きたい。  そろそろ陽が沈もうかという刻限、どこぞで活きのいい魚を貰って来た源さんが上機嫌で一杯始めようとしたところ、「いつも良くし... 記事を見る »
2013年1月3日更新

『幽霊人命救助隊』高野和明

 こんなに辛い思いをするくらいなら、いっそ死んでしまいたい。  どうせこの先いいことなんて有る訳ないのに、生きていたってしょうがない。  そんな風に思ったことが、誰でも一度や二度はあるでしょう。失業と... 記事を見る »
2012年12月6日更新

『おとうさんは同級生』澤本嘉光

 40代......。高校生の頃は、あと二十数年すれば自分も40歳になるという当たり前の計算が、つまらん冗談にしか聞こえなかった。両親や学校の先生を含め彼ら40代の言動からは、生きていく上でのヨロコビ... 記事を見る »
2012年11月1日更新

『ノエル』道尾秀介

「人間は感情の動物である」というのは、かのドラえもんが「ムードもりあげ楽団登場!」で言及している程の公理である。故に古今の名文家たちも、感情の描写には殊更神経を使ってきた。  分かり易いのは「断言型」... 記事を見る »
2012年10月4日更新

『戦力外捜査官 姫デカ・海月千波』似鳥鶏

 何を隠そう(隠してないけど)、警察小説と呼ばれるジャンルが得意ではない。だって警察って役職や階級が独特で、登場する部署や人々の関係が今一つよく解らないんだもん。例えば、必ずと言っていいほど登場する"... 記事を見る »
2012年8月30日更新

『ともにがんばりましょう』塩田武士

 正直、頭の回転が速い方ではないので、議論口論はすこぶる苦手。例えば上司と意見がぶつかっても、言いたいことの半分も言えないまま引き下がるというパターンが非常に多い。帰宅後、風呂に浸っている時などに、「... 記事を見る »
2012年8月2日更新

『ZONE 豊洲署刑事 岩倉梓』福田和代

 友がみなわれよりえらく見ゆる日よ  花を買ひ来て  妻としたしむ  ってのは、ご存じ石川啄木。短歌にはとんと不案内ではあるけれど、友人や同僚が皆自分より偉くなったように思えて凹んだ記憶が、私の場合は... 記事を見る »
2012年7月5日更新

『消防女子!!』佐藤青南

 24時間年中無休、市民の平和を守る為、恋もおしゃれも投げ出して東奔西走の正義の味方。と言えば聞こえはいいがその実態は、キツイ、キタナイ、キケンの典型的な3K職場で、一にも二にも体力勝負。男尊女卑の悪... 記事を見る »
2012年6月7日更新

『夏のバスプール』畑野智美

 やってはイケナイと言われると逆に燃えたぎる使命感とか、大人の裏をかく時だけは高まる集中力とか、後先考えずに突っ走れちゃう軽薄さとか、そんな時に限って結束しまくる連帯感とか、青春期特有のそういうノリが... 記事を見る »
2012年5月3日更新

『日本全国津々うりゃうりゃ』宮田珠己

 一体全体、こういう作品をどう紹介すれば良いんだろう? 窒息寸前まで馬鹿笑いさせられた本は過去に幾らでもあるが、こと宮田珠己さんの如き才能は、ちょっと他には見当たらない。  例えばタイトル一つとっても... 記事を見る »
2012年4月5日更新

『ゴールデンラッキービートルの伝説』水沢秋生

 子どもが主人公の物語が好きである。「青春」と呼べるほど成長している訳ではなく、だけどサンタクロースなんか本当はいないってことぐらいは解っている。そのぐらいの歳の子どもが、悩んだり落ち込んだり自棄にな... 記事を見る »
2012年3月1日更新

『ホームグラウンド』はらだみずき

 例えば今から100年余り前、ウィルバーとオーヴィルのライト兄弟が人類初飛行の夢を追いかけていた時、周囲の大多数の人は「いい歳こいて何を馬鹿な」と、半ば冷笑していたそうである。火星にまで有人ロケットを... 記事を見る »
2012年2月2日更新

『女神のタクト』塩田武士

唐突に聞こえるかも知れないが、ディズニーランドでは、誰もがミッキーマウスなど作り物であることは承知の上で、敢えてファンタジーの世界に酔うでしょう? 反りの合わない上司とか嫁姑とか受験とか、そんな現実を... 記事を見る »
2012年1月5日更新

『「上から目線」の構造』榎本博明

先生と 呼ばれるほどの 馬鹿でなし なんて川柳があるくらいだからね。やっぱり無駄にエラソーなのは、頭悪そうなんだよね傍から見ると。だけど居るんだよ、昔も今もどこにでも。勿論、あなたの隣にも。 何故あの... 記事を見る »
2011年12月8日更新

『感じる科学』さくら剛

「時間もの」が好きである。 北村薫さんの「時と人」三部作『スキップ』『ターン』『リセット』(いずれも新潮文庫)は勿論のこと、浅田次郎さんの『地下鉄に乗って』(徳間文庫)とか方波見大志さんの『削除ボーイ... 記事を見る »
2011年11月10日更新

『水の柩』道尾秀介

【嘘をつこうとする時、人は大抵、自分が背負い込むことになる荷物の重さに気が付かない。即ち、一つの嘘を押し通す為に、新たに二十もの嘘を考え出さねばならないということに】──スウィフト 【人生に於いて何よ... 記事を見る »
2011年10月6日更新

『新小岩パラダイス』又井健太

 さて皆さん。原始共同体的青春文学三部作、というのをご存知ですか? なに、知らなくったって恥じるこたぁありません。人間誰だって、知らないことはあるものです。ましてやこの三部作は、僕が今、不意に思いつい... 記事を見る »
2011年9月1日更新

『息を聴け』冨田篤

 唐突にお尋ねしますが、皆さんは<木琴>という楽器をご存じですか? 無論、ご存じですね。ではここで問題です。今あなたの前に<木琴>というものを一度も見たことがない人がいると仮定して、その人に<木琴>の... 記事を見る »
2011年8月4日更新

『ヒトラーの防具』帚木蓬生

 例えば、だ。大学受験に失敗したり、好きな女の子にフラれたり、理不尽な左遷を言い渡されたり、嫁姑の仲がこじれたり、とにかくまぁ辛かったり悲しかったりすることが人生にはあれやこれやと多い訳だが、落ち込ん... 記事を見る »
2011年7月7日更新

『五感で学べ』川上康介

 これぞスポ根農業! ザッツ・ボタニカル・エンターテインメント!!  例えば、日テレのドラマ『高校生レストラン』で松岡君たちが挑戦するのが、レストランじゃなくって畑だったら多分こうなる。或いは『のだめ... 記事を見る »
2011年6月9日更新

『ビア・ボーイ』吉村喜彦

 あんなに飲むんじゃなかったボタンなるものをポチッと押したら、二日酔いがキレイサッパリ消えて無くなる。但し一年に一回しか使えない。とかいうのがもし在ったら、そのボタンを押すのは今しかない!  なんてこ... 記事を見る »
2011年5月12日更新

『グレイヴディッガー』高野和明

この話をすると決まって<ドロケー>or<ケードロ>論争が巻き起こるのが面倒なんだが、要するに参加者を警察と泥棒の二手に分けて追いつ追われつする鬼ごっこの話をしている。あの遊びで圧倒的に興奮したのは皆、... 記事を見る »
丸善書店津田沼店 沢田史郎
丸善書店津田沼店 沢田史郎
1969年生まれ。いつの間にか「おじさん書店員」であることを素直に受け入れられるまでに達観致しました。流川楓君と身長・体重が一緒なことが自慢ですが、それが仕事で活かされた試しは今のところ皆無。言うまでも無く、あんなに高くは跳べません。悩みは、読書のスピードが遅いこと。本屋大賞直前は毎年本気で泣きそうです。読書傾向は極めてオーソドックスで、所謂エンターテインメント系をのほほ~んと読んでいます。本屋の新刊台を覗いてもいまいちピンとくるものが無い、そんな時に思い出して参考にして頂けたら嬉しいです。