WEB本の雑誌

2月7日(金)

 大手出版社は、各書店さんの自社商品の販売実績に基づき、それぞれ書店さんにランクを付けているそうで、そのランクにあわせ新刊の配本部数を決めているという。例えば、Aランクなら30冊、Bランクなら15冊というように。ただそのランクが日本全国の書店さんについているわけではなく、過去の販売実績が最低販売部数に到達しなれければ、新刊の配本はないことになる。

 本日伺った店長さんのお話。

「ランクで配本するっていう考えはわかるんだけど、ある文庫本を出版社にかけあってチェーン一括で注文させてもらったんだ。うちのチェーン約20店舗で、元々その出版社のランクがついているのは半分以下の8店舗くらいなんだけど。でね、これは売れると思ったから各店一斉に仕かけてみたんだよ。そしたら、これが結局トータルで1000部以上売れちゃった。もしランクに忠実にやっていたら、きっと、この10分の1だよね」

 いつだか別の書店さんでそのランクを獲得するための販売数を聞いたことがあるが、とても町の書店さんで達成できる数字ではなかった。

「なんかさ、いつの間にか出版社が実績とかデータとか言い出して、マーケティングらしきことをしだしたと思うんだけど、なんかそれにあわせて出版不況が始まった気もするんだよね。だってこの文庫本、もしうちのチェーンで販売してなかったら1000部のうち半分以上は、売れずに終わっていたと思うよ。出版社は町の書店になければ、お客さんが大きい書店に行くと思っているだろうけど、本を買うためにわざわざ電車に乗っていく人なんて限られているし、1週間くらいしか本のことなんて覚えておいてくれないよ。返品率が怖いのはわかるけれど、だからといって売れる機会を失っているんじゃないかなあ。もちろん、自分で判断して発注できる書店員も減っているんだけどさ」

 さてさて、別の書店さんで伺った、別のランクの話。

 文庫本には、それぞれランクがついているそうで、基本的に書店さんの棚に並んでいる既刊の文庫本はランクの高い順にセットになっているそうだ。いわゆる<売れ行き良好書>が書店さんに並ぶことになる。

「一度そのランクを無視して、全点注文書を取り寄せて発注してみたんですよ。これは…っていうのを。そしたら日頃ランクに入っていない文庫本がズバズバ売れていって、いったい今まで何をやっていたんだか…って感じです。」

 こういう話を伺っていると、効率とはいったい何ぞや?なんてことを考えてしまう。管理しやすいように、楽になるようにと出版社は頭を捻っているのだろうが、果たしてそれによって自社の首を絞めているのではないだろうか。そういえば、書店さんも効率化が進んでいて、その効率化はポジティブな効率化ではなく、どちらかというと人減らしのためのネガティブな効率化の印象を受ける。

 僕は、出版業というのは、いわゆるビジネス書などに書かれているようなビジネスに当てはまるらない商売なんじゃないかと思っている。